デジタルハリウッド卒業生の松田圭太監督は、自身で監督・脚本・VFXを務めた映画『エレクトロニックガール』の劇場公開記念セミナー「~サラリーマンから映画監督への転身秘話、小規模&低予算での映画製作のコツ~」を、デジタルハリウッド東京本校にて開催した。

会社員から映画監督へ

会社員から映画監督へ転職した松田圭太監督

松田監督は、大学卒業後、ソフトウェア開発会社に入社。2年間勤めたのち退社し、デジタルハリウッドに入学、半年間CGを学ぶ。デジタルハリウッド卒業後、そのまま同校でTAなどのアルバイトをして生計を立て、数年後フジテレビのドラマ「ロング・ラブレター ~漂流教室~」など、フリーランスの立場でフジテレビの数多くのドラマに参加。現在は、映像制作会社「有限会社ライスフィールド」を設立し、ドラマ「絶対彼氏」、スポーツ情報番組「すぽると!」など、数多くのCG制作を手がけている。

会社をやめてデジタルハリウッドに入学した当時、松田監督は映画を製作したいとは思っていなかった。しかし、様々なテレビ番組のCGディレクターを行っていくうちに、自分で映画を監督してみたいと思うようになっていったという。

「テレビ番組のCGディレクターは、監督の求めているものを具現化する、やや技術色の強い立場です。確かに監督の要望に答えるという喜びもあるんですが、僕は、テレビの撮影現場に行くと『僕だったらこうしたいな』とか、『あそこはこうしたかったな』といった欲求が出てくるんです。だったら自分で作りたいなと思って、そこで初めて映画を作りたいなと思いました」

しかし、映画を作りたいと思っても、知名度がなく、誰も資金援助をしてはくれない。そこで知名度を上げるため、松田監督は様々なコンテストに自主制作作品を出品。コンテストに入賞することが映画監督への近道だと考えた。しかし、コンテスト用に制作した2本の作品は、どのコンテストでも入賞することができなかった。そんな中で、とある会社の社長が新人監督をプロデュースするという企画があることを知り、松田監督は迷わずその企画に応募。撮りたい映画の企画をはじめ、今まで製作してきた作品、映画を作りたいという強い想い、自分の強みである"CG制作が可能である"という点などを猛烈にアピールした。

映画『エレクトロニックガール』

舞台は温暖化によって様変わりした近未来。研究所で生み出された人型アンドロイドのアイドル・ナナ(小泉麻耶)はテスト撮影中の事故で偶然にも自我が生まれる。そのことで、処分対象となったナナは研究所を脱出。荒廃した街で幸紀(綾野剛)と出会い、徐々に人間らしさを身につけていくのだが……
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