VMworld 2009で年内のPCoIP対応などが発表され、話題を集めた「VMware View」。2日目の基調講演で紹介された内容をこちらの記事で簡単に触れたが、本稿では米VMware, Enterprise Desktop Marketing, Vice PresidentのPatrick Harr氏の話を交えながら同製品について少し補足しておこう。

"ユーザーセントリック"を実現する仮想デスクトップ環境

米VMware, Enterprise Desktop Marketing, Vice PresidentのPatrick Harr氏

基調講演のレポートでも触れたとおり、VMware Viewは、サーバ側からデスクトップを提供するシンクライアント型ソリューション製品である。ユーザーは通常のPCと同等の操作が行えるが、アプリケーションはサーバ側で実行され、データも端末には残らない。ユーザーに対して仮想的なデスクトップを提供しているかたちになるため、「仮想デスクトップ環境」と呼ばれる。

VMware Viewの大きな特徴の1つとして、さまざまな端末から利用できる点が挙げられる。高速アクセスを実現する専用シンクライアント端末がさまざまなパーナトーから提供されているほか、通常のPCから利用することもできる。VMworld 2009の会期中には、シンクライント製品のベンダーとして知られる米Wyseが、iPhone上で動作するシンクライントアプリケーション「PocketCloud」をVMware Viewに対応させたことを発表しており、モバイル端末からの利用も可能になった。

VMware Viewの概念図。新たにiPhoneが対応端末に加わることになった

基調講演で行われたPocketCloudのデモの様子

通常のデスクトップは端末に付随するものであり、何らかの対応を施さなければオフィスのデスクトップ(すなわち自分の作業環境)に外部からアクセスするといったことはできない。休日に自宅で仕事をする際などに、必要なデータが会社のPCにしかなく、作業の中断を余儀なくされるといった経験はだれしもお持ちだろう。それに対し、仮想デスクトップ環境では、ユーザーがどこからでも同じデスクトップにアクセスできるため、そういった不便さから開放されることになる。このような点を踏まえ、VMworld 2009では、従来のデスクトップを「デバイス(PC)セントリック・コンピューティング」、仮想デスクトップ環境を「ユーザーセントリック・コンピューティング」と称していた。

さらにiPhoneに対応したことで、外出先や移動中にも会社と同じ作業環境にアクセスすることが可能になった。ユーザーにデスクトップが付いて回るかたちになり、まさにユーザーセントリックな環境が構築されたことになる。

従来のデスクトップ環境のイメージ。デバイスが中心にあり、ユーザー、アプリケーション、データ、設定などがガチガチにつながっている

それに対し、仮想デスクトップ環境では、ユーザーが中心にあり、その他の要素も置き換え可能