【レポート】

大人になった今こそ「歯列矯正のススメ」(後編) - 治療体験レポート

1 実際に治療開始!

    笠井美史乃  [2009/08/27]

    前回紹介したように、歯列矯正は治療には時間がかかる。今回は、実際にどのような過程を経て治療が行われるのか、治療中の生活にどのような影響があるのか、歯列矯正を始めた著者がレポートする。歯科医選びや治療の流れ、治療費について参考してみてほしい。

    気になったときが治し時、かも

    昔から「ハムスターみたい」とか「リスっぽい」とか言われ続けた筆者は、前歯が大きいことは自覚していたものの、実はそれほど出っ歯だとは思っていなかった。しかし考えてみると、噛み合わせが悪いために前歯で食べ物を噛み切れない、咀嚼しにくい、犬歯で下唇を噛んでしまう、滑舌が悪い……などの自覚症状があった。これが原因で、口を閉じにくい、食べるのが遅い、話を聞き取ってもらいにくいなどの二次的な問題が生じていた。

    一度気になり出すと、鏡を見るたび、食事をするたびに「私って、歯並びが悪いなぁ」と思ってしまい、これが想像以上にストレスになった。やはり矯正するべきなのか、と思い始めた頃、妹が矯正を始めた。妹は典型的な小顔で、並びきらない歯が部分的に重なる状態だった。これ幸いと色々話を聞き、自分もカウンセリングを受けてみることに決めた。

    長い治療、まず一歩目を踏み出した

    【治療開始前】

    まずは歯をみてもらい、どんな治療が必要なのか、費用や期間がどの程度なのかを聞いた。わかったことは、抜歯が必要になること、1年半~2年程度かかること、費用はだいたい65万円~(詳しくは後述)など。おおまかなイメージをつかんだ上で何件かの歯科医院を比較し、治療を行うことに決めた。

    【1週目】

    始めに現在の歯の状態を徹底的に検査する。歯の写真、顔の写真、レントゲン、噛み合わせ、そして歯形。これらのデータを検証して不正咬合の原因を調べ、治療方法が検討される。

    前歯のはみ出し具合がわかる。口元の出っ張りがなくなれば鼻が高く見えるようになると言われた

    数日後、治療内容についての詳しい説明を受けた。簡単に言うと、上下各2本、計4本の歯を抜き、空いたスペースに前の歯を引き込んで徐々に噛み合わせを治す、という内容だ。始めに上の歯の治療を開始、それが落ち着いたら下の歯、という順で行われる。

    実は本人が思っていたより重度の不正咬合で、前歯が出ているだけでなく奥歯も正しく噛み合っていなかったのだ。また、上は2本抜いてもギリギリのため、「インプラントアンカー」という小さなボルトのようなものを埋め込み、抜歯後の隙間に奥歯が少しでも動いてこないよう固定する必要があるそうだ。

    【2~3週目】

    同院は矯正専門のため、抜歯は別の歯科医院で行った。初回に1本、1週間程度の間を置いてもう1本を抜く。

    まずは表面麻酔、そして注射でしっかりと麻酔を行ってから抜く。歯科医がぐっと力を込めているのがわかるが、痛さは感じない。思っていた以上にそれはあっさりと終わった。歯を抜く事への抵抗感や怖さはあったが、抜くこと自体はそれほど怖がらなくても大丈夫、というのが実感だ。

    痛いのは麻酔が切れてからで、抜いた当日は痛み止めを飲んで早々に就寝。翌日も痛みはあったが、薬を飲んでおけば日常生活に支障のない程度だ。当面、食べることは多少不自由になるが仕方ない。

    実は、歯を並べるだけなら約9割が抜歯せずにできるそうだ。しかし山田医師の場合、ただ並べても噛み合わせや口を閉じにくい状態が改善できないと考えられる症状では、抜歯を行っているという。

    【4週目】

    いよいよ矯正装置を取り付ける。筆者が使用するのは前回紹介した透明のブラケットを使うタイプだ。始めに歯の表面を磨き、続いてタンパク除去を行う。そして、ブラケットを歯に1つずつ貼り付けていく。最後に、先生から矯正中の食事や歯磨き、痛い場合の対処などについて説明を受けた。

    矯正治療に使われるブラケット。前歯など見えやすいところはクリアブラケットだが、見えにくい一番奥はメタルだ

    口の中に接着剤のような臭いが広がる。虫歯治療で仮詰めをするときと同じ臭いだ

    ここ形状記憶ワイヤーを渡し、ごく小さなゴムのリングで固定して完了だ。ワイヤーが掛かると、ぐっと押されているような感触が。今回は非常に細いワイヤーだが、治療が進むにつれてより太いワイヤーで力を加えていくことになるそうだ。

    取り付け完了。ワイヤーも白色で、誰が見ても「目立たない」と言われる

    【その後】

    装置取り付け時には押されるような違和感を感じたが、半日くらいするとそれが痛みに変わる。圧迫や締め付けでアザができる感じの痛さで、特に前歯は少しでも物が触れると上あご全体にギィンと響く。バナナも噛み切れない状態だ。

    これは数日で収まる人もいれば、1週間以上続く人もいて個人差が大きいという。食事はゼリーや豆腐、うどんなどの柔らかい物のみで、前歯に当たらないよううどんも短く切って食べた。筆者の場合は2日ほど痛みが続き、3日目以降は徐々に回復。1週間程度でほぼ普通の食事に戻った。

    歯磨きはこれまでの約2倍(体感)の時間がかかる。特にブラケット周辺や、歯と歯茎の間はよく磨くよう指導された。歯ブラシは市販の物で問題ないが、ヘッドが小さく毛先の細いタイプが使いやすい。

    抜歯をしてから必然的に食事の量が減り、ダラダラ食べ続けることもなくなったため、思いがけず3週間でベルトの穴1個分ほどのダイエットになった。だが、夏バテしやすい人にはぜひ夏以外の時期に治療を開始することをお勧めしたい。

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