今回のキャンペーンのキービジュアル

テレビを観ていると必ず目にするテレビCM。この映像はどのように制作されているのだろう? そんな疑問を抱いたことはないだろうか。

コカ・コーラは、1886年にアメリカで誕生し、今や世界中で愛されている清涼飲料水。テレビCMでは、印象に残るキャッチフレーズや耳に残るテーマソング、旬なタレントの起用などで、これまでインパクトのあるCMを数多く制作してきた。そんな日本コカ・コーラでは、7月から「Cokeをあけて音楽でつながろう」をテーマに、秋から全国で開催される音楽ライブのチケットや、携帯電話の着うたフルが当たる音楽キャンペーン「Coca-Cola Happy Music」を展開している。このキャンペーンのテレビCMで使われた映像テクニックを制作現場の様子を交えながら紹介していこう。

コカ・コーラのテレビCM

当然のことだが、テレビCMは広告手法のひとつである。広告の露出先には、テレビをはじめ、雑誌、PCサイト、携帯サイト、屋外広告など様々な媒体が存在する。さらにコカ・コーラなどの清涼飲料メーカーには、通常の広告媒体に加え、自動販売機という独自の広告媒体もある。企業はどのようにして様々な広告媒体を使い分けているのだろうか。

日本コカ・コーラのマーケティング本部・コカ・コーラTMグループ・シニアマネジャーである今西周氏によると、今回のキャンペーンでは、テレビ、自動販売機でのポスター、雑誌、PC&携帯サイトの順でより詳しい情報を提示するようにしたという。これは、各媒体別にその目的と役割にあった情報を紹介しているためとのこと。つまり、テレビCMでは同キャンペーンに対する早期の認知獲得が一番の目的であるため、伝えたいことを端的に表現する。一方、PCサイトや携帯サイトはキャンペーンの内容を熟知してもらった上で、実際に参加してもらうことが主な目的になる。日本コカ・コーラでは、このようにあらゆる媒体を消費者とブランドとの接点と捉えて、媒体ごとにそれぞれ違った目的をもって展開される統合型コミュニケーション(Integrated Marketing Communication)に基づく広告を展開している。そのなかから今回はテレビCMの制作に注目して紹介していこう。

日本コカ・コーラのマーケティング本部・コカ・コーラTMグループ・シニアマネジャーである今西周氏

実際にTVCMを制作した電通のCMプランナー・和田率氏(左)とアソシエイト・スーパーバイザー・三浦光一郎氏(右)

日本コカ・コーラが実際に展開している「コカ・コーラ」のテレビCMには、グローバルカンパニーである強みとネットワークを活かし、アトランタ本社や世界各国のコカ・コーラが制作したグローバル素材を活用し日本の消費者向けに編集したCMと日本コカ・コーラが独自に制作する、大きくふたつのやり方でCMを制作している。またCMの目的に応じて、ブランドが目指す世界観やブランド力そのものを高めるためのCM「ブランドCM」と、実際にブランドが展開する各種キャンペーンに参加してもらう行動喚起のために流すCM「キャンペーンCM」の2種類に分類することができる。コカ・コーラのイメージを植えつけることに特化したブランドCMに対し、キャンペーンCMは商品を購入してもらい、実際にキャンペーンに参加してもらうところまで、消費者に行動を起こさせなければいけない。そのため、基本的にブランドCMに比べ、キャンペーンCMでは伝える情報が自ずと多くなるという。

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