【インタビュー】
ERPのトップ企業であるSAPがBIベンダ最大手BusinessObjectsの買収を発表したのは2007年10月、まさにBI業界の大再編を象徴するような出来事であった。それから2年近く経った現在、BusinessObjectsはSAPの主要なポートフォリオとしてふたたび脚光を浴びつつある。BIそのものへの注目度が高まっていることもあるが、なんといってもSAP ERPとのシームレスな統合を実現できる点で、競合よりも優位に立つ。
欧米と比べてBIの採用が遅れがちと思われてきた日本企業だが、ここにきてようやく本格的なBI市場が形成されつつある。業界をリードする役割を担うSAPジャパンが取るBI戦略について、同社のバイスプレジデント ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部 副本部長 桐井健之氏、同ビジネスユーザー&事業本部 BIP事業開発部 部長 塚本眞一氏にお話を伺った。
SAPのBI戦略における他社との違いは? との質問に対し、桐井氏は「新しいInsight(気づき)を提供するクローズドループ」を最初に挙げる。世界で最も普及しているといわれるERPを擁するSAP、その会社が提供するBIであるならば、ERPとの密な統合を求められることは必定であり、また、同社もBusinessObjectsを買収して以来、ERPとBIのシームレスな環境を構築すべく、アーキテクチャの統合に力を注いできた。結果、「SAPとBusinessObjectsの両方の顧客にとって有意義なソリューションを提供できた」(桐井氏)と自信を見せる。
桐井氏の言う"クローズドループ(Closed-Loop)"とは、一元管理されたデータから得られた"気づき"をもとに意思決定が行われ、それが速やかに実行されること - すなわち"戦略と実行"が滞りなく、円を描くように循環していくことを指す。このとき重要なのは"スピード"だ。どんなにデータ分析が正しくても、戦略が素晴らしくても、それらが"迅速"に実行されなければ意味がない。「SAP BusinessObjects(BI)で得た気づき、立てた戦略を、SAP Business Suite(ERP)で速やかに実行する、これこそがSAPの強み。"気づき"だけを得ても、それが実行されないBI環境では何ら経営課題の解決につながらない。2007年、BIベンダが軒並み買収されたのは、汎用的な分析だけを行うBIに対して市場が限界を感じた部分も大きい」と同氏は強調する。たとえて言えば、いくら正確なリスク分析を行っても、それが実際の行動に反映されず、予測通りにリスクが現実となる瞬間を迎えていては意味をもたないのだ。
塚本氏もまた、クローズドループにおいてこそBIが最も効率的に生きると語る。「BIが企業において果たすべき最も重要な役割は、パフォーマンスの最大化とリスクの最小化。正確かつ迅速な情報の積み上げで得られた気づきが、それらにつながる」という。
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