麦芽100%となった「一番搾り」

今年1月に発表された「キリン一番搾り生ビール」のリニューアル。遂に麦芽100%を実現し、3月上旬製造品から順次切り替えが行われていった。

リニューアルした「キリン一番搾り生ビール」

このほど発表された2009年上半期課税移出数量はビール計が前年比94.5%。そんな中「一番搾り」は+3.1%と増加。リニューアル以降前年を上回るハイペースでの売り上げをキープしており、2009年2月中旬~6月末販売量が350ml換算で4億本を突破している。この好調さを受け、1割増のペースでの増産も決定した。

キリンビールはこれまでにも、麦芽100%の試作を繰り返してきたが、「一番搾り」ブランドの目指す味にはならず断念してきたという。「新・一番搾り」完成までにどのような道のりがあったのだろうか。キリンビール営業本部マーケティング部商品担当主務の上田隆史さん、同じく商品担当の田代美帆さんにお話をうかがった。

――まず、一番搾りの生い立ちを教えてください。

キリンビール営業本部マーケティング部商品担当主務の上田隆史さん

上田さん「『一番搾り』が発売されたのは1990年の3月です。通常ビールは一番搾りと二番搾りの麦汁をブレンドしています。しかし、当時の開発チームの技術者が『一番搾りの澄みきった麦汁だけを使ったビールを造りたい』という想いをもっており、その開発に取り組んでいました」

――プレミアムビールの先駆けのようなお話ですね。

上田さん「『キリンの本気感が伝わる新商品を』と意気込んでいたのは確かです」

――そして「一番搾り」という製法をストレートにブランド名にしたわけですね。

上田さん「そうです。このような製法自体はドイツなどでも知られていましたが、これだけの規模で生産されている例は世界中探しても他にはないはずです」

田代さん「実際、つい最近ドイツの醸造関係者から、『ビールは一番搾り麦汁と二番搾り麦汁をブレンドして味をつくるのが常識なのに、一番搾りは一番搾り麦汁だけ(素材のいいところだけ)でビールをつくるとは、なんと日本人らしいクレイジーな製法なんだ!』と驚かれました(笑)」

キリンビール営業本部マーケティング部商品担当の田代美帆さん

上田さん「発売以来、多くの方々に支持されてきていますが、それは素材のいいところだけを使用するという考え方が、日本の食文化にマッチしたからではないでしょうか。例えば、和食ではだしを取りますが、カツオ節や昆布の上質な旨みだけを引き出して、贅沢に使用している。『一番搾り』も同様の発想から生まれました」

――ではなぜ今回、麦芽100%にしたのでしょうか。

上田さん「プレミアムビールが人気を集める一方で、発泡酒や第三のビール(新ジャンル)がビールのシェアを奪う時代となりました。だからこそ、消費者にビールを選んでもらうための"明確な理由"が必要だと考えます」

田代さん「弊社では10年以上前から麦芽100%の『一番搾り』を試作していました。そんな中、プレミアムビールの台頭により、麦芽100%というこだわりが消費者に徐々に浸透していく様子を見て、『今こそ麦芽100%の一番搾りを完成させる時期だ』と動き出し、リニューアルに至ったわけです」