【レポート】
WIRELESS JAPAN 2009会場で行われた講演の中から、「Androidの最新技術動向と可能性 ~端末発表後~」と題した講演の内容をお届けする。講演したのは、日本Androidの会幹事でPF-WGリーダーの嶋是一氏。
Googleが中心となって開発されるOSであるAndroidは、国内でもNTTドコモから第1弾端末「HT-03A」が登場した。海外ではHTC Magicと呼ばれる端末に相当し、「ドコモ向けのカスタマイズは一部だけで、かなりオープンに従っている」ということだ。
しかし、嶋氏によると国内初のAndroid端末はHT-03Aではなく、6月にGoogle Developer Day 2009で参加者全員に配布された「GDD Phone」だという。海外のHTC Magicと同じスペックで日本語化されたもので、国内利用も可能なように認証も通されており、SIMロックフリーというのが特徴。開発用端末として配られたものだが、実機のAndroid端末としてはこちらの方が先に登場した。
Android端末の最新動向としては、欧州で「HTC Hero」が登場。携帯向けではなくフルスペックのAdobe Flashを搭載した点が大きな特徴で、Twitter検索機能なども備えている。そのほかにも、Samsung、Acerのネットブックが登場予定だ。
Android端末は、「今年中に10機種以上でるといわれている」と嶋氏。現状の端末は、QualcommのチップセットやハーフVGAディスプレイの搭載といった点が共通しているが、Androidの仕様上はそれ以外の環境でも動作する。そもそもAndroidには、「ハードウェアの要求スペックは(仕様に)統合されていない」。フォームファクタがないため、メーカー側がすべてを決める必要があり、「全部の端末がバラバラのスペックになる危険性はある」のがAndroidだという。逆に言うとAndroidは、「特定の用途に特化したものを作るなど、どんなものにも組み込める」ということで、この自由度がメリットだという。
iPhoneの場合は、ハードウェアはすべてAppleの仕様に基づき、ドック経由をのぞいて拡張性はない。「Androidは(ハードウェアの)決まりがない。全部自分でやらなければいけないのがAndroidの特徴」だという。
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噂レベルのものも含めて、スペックが分かる端末を比較。現状のAndroid端末はすべてQualcommのチップセットを使っているが、x86を含む別の環境でも動作する。ただし、製品開発で難しいのは「音声通話」だという。Qualcommは、これが可能なソリューションを持っているから選ばれているのだそうだ |
Androidの開発環境にも新たな動きがある。まず、6月に提供されたのがAndroid NDK(Native Development Kit)だ。Androidでアプリケーションを開発する場合は、基本的にJavaを使うことになる。それに対して、ハードウェアを拡張した場合に、Javaからデバイスドライバの処理を呼び出す必要があるが、これをGoogle側が提供し、デバイスドライバ用のC/C++のネイティブコードをJavaのアプリと一緒にパッケージして配布する仕組みを用意したわけだ。
同じく6月には、Android ASE(Android Scripting Enviroment)も発表された。従来のAndroidは、LinuxベースとはいってもLight LanguageであるPythonやRubyなどのスクリプトは標準で動作できなかった。こうしたスクリプトの実行環境はこれまでも用意されていたが、これをGoogle自身が作ったのがASE。ただ正式に提供されるかどうかは検討している段階だという。
このように、「足りない機能を付け足しながら進化していく。必要だと思った人がおのおの作って進化しているのがAndroidの面白いところ」と嶋氏。現在Androidは、08年にRelease 1.0が登場。4月にはHT-03Aにも搭載されているRelease 1.5がリリース。今年中にRelease 2.0が登場予定となっている。
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Androidのバージョンの変遷。リリース名にはアルファベット順の菓子の名前がつけられているそうで、CupCake(カップケーキ)、Dounts(ドーナッツ)に続き、Release 2.0はE-clair(エクレア)、さらに次のバージョンは「Flan(カスタードプリン)」になる、らしい |
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さて、AndroidはLinux 2.6をベースにした組み込み機器向けのプラットフォームだ。オープンソースであり、ロイヤリティはフリー。Apache v2ライセンスであるため、企業が開発したソースを開示する義務はないので「企業としてもやりやすい」のが特徴だ。
アーキテクチャでは、LinuxカーネルとAndroidミドルウェア・Androidランタイム、アプリケーションフレームワークなどがAndroid SDKで提供される。ハードウェアのデバイスやそのドライバはGoogleが関与せず、オープンにする必要もない。
また、基本的に製品のAndroidミドルウェアやLinuxカーネルなどはユーザー側で入れ替えできないが、「汎用環境」にすることで、OSの入れ替えさえもできるようになるそうだ。自分でカスタマイズすることで、「自分版のAndroid端末が作れる」のも特徴だ。
ちなみにHT-03Aでは、「ポケット羅針盤」がオリジナルアプリとしてインストールされている。ドコモでは、このAPIを公開しており、ほかのアプリからでも利用できるようになっている。こうした拡張を導入することで、嶋氏は「電話会社やメーカーの差別化が進んでいくのではないか」と指摘している。
嶋氏は、AndroidとiPhoneについて比較し、Androidは多様性、iPhoneは目的志向と表現。Androidはまだビジネスモデルがない状態だが、iPhoneはすでにApp Storeなどで完成しており、逆に言うとAndroidの方が「可能性がある」という。
嶋氏は、電話会社やメーカー、開発者らによるエコシステムの重要性を指摘。新しいビジネスモデルの可能性に期待を示し、「まだAndroidは2歳。これから育てていくことが必要」と話して講演を締めくくった。
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