「乾電池、エボルタの挑戦。グランドキャニオンの壁を登りきれるか……」というナレーションとともに、乾電池2本を縦に背負った青いロボット「エボルタ」がグランドキャニオンの断崖絶壁をロープを手繰って登頂するCMが記憶に新しい。このエボルタ、今度は3輪のタイヤを手に入れて、あの24時間耐久レースで知られるフランス ル・マンの道をどれだけ走れるかに挑戦する! ロボット「エボルタ」は24日、「長持ち実証実験 ワールドチャレンジ第2弾」となるル・マンへの"参戦"(8月7日予定)を前に、東京都内でその優れた走行性能を報道陣に公開。渡仏直前のコンディションや意気込みを、開発陣・スタッフ、そして本人(!?)に聞いてみた。

これがル・マンに参戦する"第2世代マシン"「エボルタ」

3輪ロボット「エボルタ」のスペックを紹介する前に、2008年の前回、アメリカ・アリゾナ州のグランドキャニオンをロープを手繰って登頂した"先代エボルタ"を簡単に振り返ろう。単3乾電池エボルタ2本を背負った先代は、その断崖絶壁を上へ上へと登りはじめ、スタートから6時間45分をかけて頂上へと達した。

こちらが先代エボルタ。ロープを手繰る動きを最優先しているため、直立することはできない

今回の3輪エボルタは先代の4倍もの時間となる24時間走行に挑戦する。先代エボルタの登頂結果を踏まえながら、今回さらに厳しい条件下で長持ち実証実験に挑むことになった3輪エボルタ。そのスペックは次のとおりだ。

形状 車両型ロボット
動力 パナソニック乾電池EVOLTA単3形2本
モータ 前輪2輪に各1個のDCモータ(合計2個)
最高時速 約1.3km/h
寸法 全長約30cm 全幅約20cm 全高約20cm
制御 マイコンをエボルタ胴体(腹部分)に内蔵
重量 約350g
制御 赤外線センサーによる自走方式(誘導車を追尾)
その他 前輪中央にセンサーを配置。転がり抵抗を軽減させるベアリングを約20個装着。ボディはカーボンファイバー製。骨格はアルミ製

高橋智隆氏とエボルタ試作機

ご存知のとおり、ロボット「エボルタ」は、"グランドキャニオン型"も"ル・マン型"もあのロボットクリエイター・高橋智隆氏が設計・開発を担当している。今回の"ル・マン参戦"について、高橋氏は、「舞台がサーキットなので、さまざまなコントロールを行う必要がある。カーブが連続するうえに上り坂や下り坂が多い。左右に曲がる、坂道にブレーキをかけるという制御が必要となってきて、乾電池EVOLTAの性能を最大限引き出しつつ、「走る」と「コントロール」を両立させるところが今回の設計のポイントだ」と話す。3輪エボルタは、カメラカー(誘導車)が発信する赤外線を受信し、追尾して周回を重ねる。今回は上へ登るだけの単純な動きの先代に加え、「走る曲がる止まる」というクルマの基本性能となる部分の制御面のチューニングが必要となり、先代よりももっと複雑な機構に挑んでいる。

コースはル・マン24時間耐久レースの舞台となるサルト・サーキットの一部であるブガッティ・サーキットを周回する。3輪エボルタはデモ走行でも力強い走りっぷりを見せてくれた

公開会場で3輪エボルタは、力強くそして可愛らしいデモ走行も披露した。このエボルタは、長く走るためのシステムだけではなく「がんばっています僕!」という気持ちが見る側に伝わってきそうな愛らしい動きも加えられている。上半身の動きに注目。右・左とペダルを漕ぐ動きにあわせ、上半身が左右に揺れるのだ。そのエボルタのデモ走行の走りっぷりを眺めていると、ついつい「がんばれ、がんばれ!」と応援したくなる。どこかちょこっと笑える可愛らしさだ。

これがエボルタの可愛らしい走りっぷりだ

この3輪エボルタ、実はギネスブックの世界記録にも挑戦している。テーマは「遠隔操作された車両型ロボットの最長走行距離」で、ギネス関係者は今回の世界記録挑戦の条件として「市販アルカリ電池を使い交換や充電をせずに走ること、電池容量が空になった時点で挑戦終了、レールの上などを走ってはいけない」という3点をあげていた。果たして、3輪エボルタは世界記録をマークすることはできるのか……!?

先代も3輪エボルタのル・マン挑戦を応援している

「電池は信頼していますが、長時間の走行で壊れてしまわないか、そして天変地異などでトラブルを引き起こさないかとか、心配ですが、がんばります(笑)」と話す高橋氏。エボルタのル・マン参戦の最新情報は、パナソニックのキャンペーンサイトで公開される。この3輪エボルタのル・マンへ挑戦。みなさんもぜひ応援してほしい。