次世代無線通信規格としてUQコミニュケショーンズのモバイルWiMAXと共に、2.5GHz帯の免許を取得したのがウィルコムの次世代PHS規格であるXGPだ。サービス名「WILLCOM CORE XGP」と命名されたXGPは2009年4月27日からビジネスパートナー向けを中心にエリア限定サービスが開始されていたが、第2次エリア拡大に合わせてメディアにもモニター機の貸出しが開始されたので、その実力を検証してみた。

4月22日に開催された「WILLCOM CORE XGP」エリア限定サービスの発表会

XGPに関して簡単に触れておくと、2.5GHz帯の電波を利用して送受信最大20Mbpsの通信速度を実現するワイヤレスデータ通信規格。開発はWILLCOM主導で行われたが、すでにITUから国際標準としての勧告も受けている。WILLCOMからは「WILLCOM CORE XGP」のサービス名で直接サービスが提供されるほか、MVNOでのサービスも予定されている。

「ワイヤレス・テクロノジー・パーク2009」でウィルコムの平澤氏も触れているように、モバイルWiMAXとは技術的共通点が多い。通信状態に合わせた適応変調とOFDMベースでの効率の良い多重化、OFDMAでの多元接続(異なるユーザーの同時接続)、同一周波数で送信、受信を時間で切換えながら行うTDD(時分割)での多重化といった点で、無線部分のコア技術はほとんど共通ともいえる。ちなみにモバイルWiMAXは送受信で別の周波数を使うFDDでの多重化も定義されているが、UQ WiMAXはTDDでの免許を受けている。

無線部分でのXGPとモバイルWiMAXの違いは、まずXGPが変調方式に低速だがよりノイズ耐性の高いBPSKと、より効率の良い(高速な)256QAMを追加している点が上げられる。また(端末側からの)送信においては、OFDMAに加えてよりシンプルなSC-FDMAも共存可能としている。SC-FDMAはLTEの送信側にも採用されており、通信速度はOFDMAに見劣りするものの端末側の設計が容易になり、消費電力も低く抑える事ができる。例えば現行PHSとXGPのハイブリッド音声端末が登場した場合、XGPの送信においてSC-FDMAを利用するメリットは大きい。