キヤノンは、オフィス向け複合機の新ブランドとして「imageRUNNER ADVANCE」(イメージランナー・アドバンス)シリーズを新たに投入。新製品第1弾として、同C9000 PRO、C7000、C5000の3シリーズ12モデルを発売する。

imageRUNNER ADVANCE C9000 PROシリーズ

imageRUNNER ADVANCE C7000シリーズ

imageRUNNER ADVANCE C5000シリーズ

imageRUNNER ADVANCEのロゴ

キヤノンの内田恒二社長

キヤノンの内田恒二社長は、「キヤノンはクロスメディアイメージングを加速し、紙と電子ドキュメント、静止画と動画といったように、クロスメディアとして、製品、サービスを創出する。静止画出力の中核を担うのが、複合機であり、今回の新製品は、まさに新世代複合機といえるもの。オフィスのハイエンドからミッドローの領域をカバーするものであり、多彩なアプリケーションも利用できる。これにより、複合機市場のさらなるシェア拡大を図る」とした。

imageRUNNER ADVANCEシリーズの主要機能

imageRUNNER ADVANCEシリーズは、「ITシステムとの強力な連携」「管理業務の強化とTCOの削減」「一人ひとりに最適な使用環境の実現」の3つをコンセプトに開発されたもの。

同社のアプリケーションプラットフォームであるMEAPを進化させ、企業の基幹システムや文書管理システムなどの業務システムと強力に連携。ウェブサービスにも対応し、さらに幅広いシステム構築をサポートする体制を整えたという。

MEAPの進化により、システム連携を強化

パネルも見やすいように工夫している

ファイルサーバーの代替提案も視野に入れており、紙文書をスキャンして、PDFやMicrosoft Office 2007で採用されたOOXML(Microsoft Office Open XML)といったファイルを生成しながら、imageRUNNER ADVANCEシリーズ本体のHDDに保存。さらに、画像ファイルやオフィスで使用されるファイルフォーマットを保管することができるアドバンスボックスを採用したほか、複合機連携機能により、他の複合機に保管している文書やデータを共有可能にできる。

キヤノン映像事務機事業本部長・中岡正喜常務取締役

また、別売りで提供されるソフトウェアの「imageWARE Desktop」を利用することで、スキャン、プリント、FAXなどの基本操作を、自分のPCから行えるようになる。「様々な標準技術を取り込むことで、機器間連携、基幹システムとの連携を可能とした。また、これらをサーバーレスの環境で行えるのが、他社との最大の違いといえる」(キヤノン映像事務機事業本部長・中岡正喜常務取締役)とした。

一方、セキュリティも強化しており、入退出用の社員証などを利用した機器の利用者管理、個人ごとに使用可能な機能を制限できるほか、アドビの文書機密管理サーバーと連携して、PDFのアクセス権限を管理。また、キヤノンが提供する管理ソフトや管理サービスを利用すれば、社内ネットワーク上の複合機の設定、管理のほか、リモート監視や複合機のオンラインアップデートなどが可能になる。

imageRUNNER ADVANCEシリーズには、CPUなどを2基構成とした新開発のアドバンスドiRコントローラを搭載しており、プリント速度やアプリケーション性能、操作性などを向上しているのも特徴だ。 価格は、ライトプロダクションプリンティング市場を狙うことができる最上位のimageRUNNER ADVANCE C9000 PROシリーズが380万円から、オフィスのセンターマシンとして位置づけるC7000シリーズおよびC5000シリーズは、それぞれ300万円から、170万円からとなっている。

新開発のアドバンスドiRコントローラ

今後、子機となる製品や、廉価版のエントリー機も投入する予定であり、これにあわせて、親子機器連携や、スタンドアロンモデルとして導入提案、ネットワーク連携による子機向けの新たなサービスを展開する可能性もあるという。

中小企業向けの新サービスとして「HOME」

一方、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)では、同製品の出荷にあわせて、中小企業向けの新サービスとして「HOME」を開始する。

キヤノンMJが提供するSaaSサービス基盤として提供。ユーザーは初期コストを抑えながら、月額12,000円で、社内システムを統合した企業内ポータルサイトの構築、社内スケジュール管理、設備予約、社内掲示板などを利用できる。同サービスはimageRUNNER ADVANCEなどのキヤノンのオフィス用複合機とも連携でき、複合機の操作パネルからポータルサイトを閲覧したり、スキャンした紙文書を、直接ポータルサイトに登録したりといった使い方もできる。

キヤノンMJの川崎正己社長は、「imageRUNNER ADVANCEは、マシン品質からユーザー品質への進化を果たしたものであり、技術進化の観点だけでなく、顧客主語をコンセプトとして作られた製品といえる。顧客が持つドキュメントワークフローの課題、経営課題、業務課題をより高いレベルで解決できるものとなる。分散化が進む帳票印刷市場、集約化が進むオフィス市場、オンデマンド化や小ロット化が進むデジタル商業印刷市場に対応した製品ともいえる。また、新サービスのHOMEは、システム管理者の確保や増員が難しい企業、安心できるセキュリティレベルを求めている企業に対して、その解決を提案するもの。PCの資産管理やリモートパックアップサービスを、オプションでも提供できるようにする」などとした。

キヤノンMJの川崎正己社長

ユーザー品質を目指したという

キヤノンMJ・芦澤光二取締役副社長

キヤノンMJ・芦澤光二取締役副社長も、「imageRUNNER ADVANCEシリーズは、ビジネスの仕方が大きく変わり、戦略の転換点を迎えたともいえる製品。ネットワーク対応、サービス対応、そして基幹システムとの連携といった提案が必要になる。imageRUNNER ADVANCEは900以上の機能を持っている。それらの機能を活用して、500~600もの利用シーンに対して、使い方提案できる体制を整えていく考え。社員についても、新たな認定制度を設け、ネットワークや基幹システムにも対応できるスキルへと向上を図っていく」とした。

内田恒二社長(左)と川崎正己社長