【インタビュー】

ライフネット生命岩瀬副社長が明かす - 「従来の生命保険らしくない」新しいマーケティング手法

1 「これからは三人称マーケティングが重要」 - 岩瀬副社長、開業1年を振り返る

    酒井富士子  [2009/07/09]

    今年5月、開業1周年を迎えたライフネット生命保険(以下、ライフネット)。保険料の原価開示で生命保険業界に激震を与え、新規契約申し込みのモバイル対応も行った。1年で7,000件を超える契約件数を記録。今年度は、新商品も投入する予定で、同社の勢いはとどまるところを知らない。

    生命保険の見直しについて情報提供する「マイコミジャーナル保険見直し週間」の4日目は、岩瀬大輔副社長にネットを中心とした新しいマーケティング手法について語っていただいた。

    テレビ広告にこだわらず、第三者マーケティングに挑戦

    大学在学中に司法試験合格。ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ホールディングスを経て、ハーバード経営大学院に留学し日本人では4人目となる上位5%の優秀な成績(べイカー・スカラー)を収め、卒業後、出口(現、ライフネット生命保険 代表取締役社長)に出会い、準備会社の設立に参画。現在ライフネット生命保険 代表取締役副社長

    ――ハーバードビジネススクール留学から戻ってきて即、出口社長とたったお2人でライフネット立ち上げを始められたと聞きましたが。

    岩瀬「私は生命保険のことは何も知りませんでしたが、会社を立ち上げるときにひとつだけ決めていたことがあったんです。それは、商品の訴求は、従来の生命保険らしくないやり方で進めよう。普通の消費者向けの商品・サービスとして、ブランディングしていこうということでした。生命保険というと、なんか独特のイメージがありますよね。情緒的というか、お涙頂戴的な感情に訴えて、何となく契約を促してしまう。それだけはイヤだと思っていました。そんな新しいことに挑戦したいというワクワクした思いで、この会社の立ち上げに関わったのです。

    ですから、当初から僕を含めて、マーケティング部隊には生命保険業界出身者はいません。スターバックス、ヤフー、P&Gなど、本当に幅広い業種から人が集まりました。それから、僕はライフネットの商品はわれわれ30代のためのものという思いがありますので、自分たちの言葉で自分たちの世代を語る、という意味で30代が全体の6割という構成にしました。これもマーケティングをしていくうえでの、こだわりのひとつでした」

    ――ネット生保という新しい業種を立ち上げるなか、新しいマーケティングの形を模索されていたのだと思いますが、この1年どんなことを手掛けられましたか?

    岩瀬「マーケティングが質的に変わってきたタイミングとライフネットの創業が、ちょうど重なったのかな、と思っています。たとえば、新会社設立であれば、まずはテレビCMで会社名を連呼しつつマスマーケティングしていく、というのが従来の方法だったかもしれません。でも、私はTV広告を否定するわけではないのですが、若干、信じられないかな、と思っているところはあるんです。まず費用対効果という意味で、1人あたりの効率があまりよくない。また、今までは『私が』『俺が』といった一人称マーケティングが全盛だったと思うのですが、これからは三人称マーケティングが重要かと思っています。そこを意識して、ライフネットを訴求したというのが、この1年の活動の総括と言えるのではないかと思います」

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