「Bi-Level Rendering」

Windows XPより前の時代は、「Bi-Level Rendering」(2層レンダリング)と「フォントスムージング」の2つのフォントレンダリング技術がWindowsでサポートされていた。白黒レンダリング、またはエイリアスフォントともいわれるBi-Level Renderingはもっとも早い時期からサポートが行われていたもので、前面色と背面色の2色を使ってフォントを表示する。Bi-Level Renderingは、Windows 3.1のTrueTypeで初めてサポートされ、さらにはWindows 1.0のビットマップフォントでも重要な手法として使われている。しかし、低解像度では最適化が大変難しく、熟練した技術者をもってしてもひとつのフォントを整形するのに6カ月から1年程度の時間を必要とする。キャラクタセットに含まれる文字が多ければ、さらに長い時間がかかることとなる。

Bi-Level Renderingの一例

フォントスムージング/グレイスケール

Windows 2000ではデフォルト、Windows 95の「Microsoft Plus! for Windows 95」ではオプションとして採用されたフォントレンダリング技術、フォントスムージングは、旧来からのアンチエイリアス技術よりもフォントのコントラストを向上させるために、グレイスケールとアンチエイリアス技術を組み合わせて生み出された。旧来のアンチエイリアス技術では、拡大したフォントのアウトラインデータを利用するが、フォントスムージングでは同じ技術を利用しながらも拡大前のアウトラインデータを使ってフォントを整形し、「グリッドフィッティング」と呼ばれる手法でフォントのアウトラインに沿ってピクセルのグリッドの端と端をつなぎ、その部分のピクセルをグレーにすることでなめらかに見せている。この手法は空間精度が高く、コントラストが高いという特徴がある。

また、フォントサイズによってフォントスムージングの有効/無効を決められることも旧来からのアンチエイリアス技術にはない大きな利点だ。たいていのフォントでは、96ppi表示のディスプレイ上で7ポイントのフォントを表示する場合と同等の、9ppem(pixels per em。emは1文字分の長さを表す単位で、フォントサイズが9ポイントの場合9emとなる)以下でグレイスケールのアンチエイリアスを有効に、13ポイントから20ポイント相当となる9ppem以上では主な文字のラインの太さが2ピクセル前後となり、アンチエイリアスは無効となる。

フォントスムージングの一例