映画配給会社である東宝東和は社員数70名ほど、それほど大きな企業ではないが、マイクロソフトのボリュームライセンスを活用して、コスト節減や計画的なシステムのアップグレードに成功している。今回は、採用にいたった経緯やボリュームライセンスのメリットについて、同社総務部 システム情報管理室長の早田陽一氏に話を聞いた。

東宝東和 総務部 システム情報管理室長 早田 陽一氏

東宝東和は映画配給会社として、例えば「レッドクリフ PartII」や「路上のソリスト」、「ノウイング」(ニコラス・ケイジ主演)など、洋画を全国の映画館に配給するのが主業務だ。2008年に創立80周年を迎え、「独立系の配給会社としては、おそらく世界でも最古参だと思います」と早田氏が語るほどの老舗だ。

映画配給会社には、通常の企業とは大きく異なる事情があるという。「当社では昨年10数本の映画を配給しましたが、年によって本数は変わりますし、上映するスクリーン数は作品により異なります。このため当社に限らず、年間の配給本数では会社の規模を測ることができないのです」(早田氏)。

配給本数や規模の変動はシステム運用にも少なからず影響を与えると、早田氏は語る。「大作など宣伝規模が大きい場合は予算を掛ける上に、社内の他の部署や外部から人員を集めます。逆に大作が少ない時期には予算も限られますし、人員も少なくなります」(早田氏)。

つまり、一般的な企業とは事なりPCの台数が一定ではなく、人員数が変動するたびにOfficeプレインストールPCを購入していては、コストが増大してしまうのだ。

最近では「レッドクリフ PartII」を配給

ボリュームライセンスで機動的な運用が可能に

そこで同社は2007年から、約80台のPCに対してボリュームライセンスのオープンバリューを導入した。現在WindowsはPCにプレインストールのものを使い、Officeのみをボリュームライセンスで購入しているが、かなりの効果があるという。

「一時的な増員や退職者の引き継ぎなどの際に、ボリュームライセンスなら管理が楽になりますし、無駄が出ないためコスト的にも有利です。またプレインストールPCでは、Officeをバージョンアップして利用を続ける場合とPCを廃棄する場合とで扱いが異なりますが、ボリュームライセンスなら一元的に管理できるのもメリットです」(早田氏)。

同社ではOfficeを最新の2007ではなく、既存システムとの兼ね合いで2003を利用しており、早田氏はこの面でもボリュームライセンスのメリットがあると語る。

「ボリュームライセンスにはダウングレード権があるため、当面はOffice 2003を利用して将来バージョンアップするとしても同一ライセンスで可能であり、追加のコスト負担が無いのが魅力です」(早田氏)。

社内には「ノウイング」の巨大ポスターが掲示されていた