計測機器の大手ベンダである米Agilent Technologiesの日本法人でアジレント・テクノロジーは、高性能液体クロマトグラフ(LC)システムの新製品「Agilent 1290 Infinity LC」ならびに次世代誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)「Agilent 7700シリーズ」を発表した。

「Agilent 1290 Infinity LC」の製品イメージ画像

「Agilent 7700シリーズ」の製品イメージ画像

1290 Infinity LCは、システムを構成するモジュールのすべて(ポンプ、検出器、オートサンプラなど)を新規に開発したほか、高耐圧特性に対応したカラムも新たに開発を行ったことで、"高速""高分離""高感度"を実現している。耐圧は従来品比2倍となる1200barまで対応。5ml/minの流量と併せることで、2μm未満の粒子およびその他の先端粒子カラムに対し、高分解能を実現。例えば、農薬250成分を90秒でLC/MS(液体クロマトグラフィ質量分析装置)として分析することが可能となっている。

高いピークキャパシティのため、農薬250成分を90秒で分析可能

主な対象分野は、製薬、バイオファーマ、ライフサイエンス、環境、食品、化学分野としている。価格はポンプ(デガッサ内蔵)、オートサンプラ、カラムコンパートメント、ダイオードアレイ検出器、クロマトデータシステムをインストールしたワークステーション一式で約1,155万円としており、8月からの出荷を予定している。

同社では3年以内に日本国内でのLCのマーケットシェアの倍増を目指すとしており、発売1年で国内販売台数50台を目指すとしている。

一方の、ICP-MSは、同社の日本法人本社・八王子事業所内にある化学分析事業部にて企画、開発から製造まで行われている測定機器で、Agilent 7700シリーズは最新シリーズとなる。

ICP-MSの装置構成と原理(プラズマは2000Wの電力により発生、5000~7000℃の温度により試料がイオン化する。また、コリジョンセルにより、測定したいイオンと同質量の分子イオンを分離することが可能となる)

メインフレームは同じだが、用途に応じて、環境試料や食品、一般材料、生体試料といった汎用分析用「Agilent 7700x」と半導体関連材料、試薬などの分析用「Agilent 7700s」の2種類が用意されている。

汎用分析用「7700x」のターゲットと半導体用「7700s」の特長

同7700シリーズは、従来から培ってきたHeコリジョンセル技術をベースに、これまで一般的にICP-MSはチューニングの操作が難しいとされてきたことに対する答えとして、1クリックで最適なプラズマ条件設定を自動的に行ってくれる「プリセットプラズマ」と新開発のイオンレンズの自動調節機能により、約3分以内に最適レンズ電圧を自動設定してくれる「エクスパートオートチューン」を搭載。経験がない、もしくは浅いエンジニアでも最低限のトレーニングで使用することが可能なICP-MSとなった。

また、ソフトウェアとして、GC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)やLC/MSでも用いられてきたワークステーション(WS)ソフトウェア「MassHunter」を採用。これにより、各試料の分析結果と検量線同じ画面にリアルタイムで表示することが可能となった。

価格は7700xがオートサンプラ、WSと併せて2,489万円から、7700sが同一式で、2,940万円からの構成となっており、7月1日より販売を開始、8月半ばからの出荷を予定している。

なお、同社では、低迷する半導体業界への展開が見込みづらいことから、食品、医薬品をこの数年間は集中分野と位置づけ、そうした分野を中心に販売から1年で国内のみで150台の販売を見込んでいる。