太陽光発電協会(JPEA)およびSEMI(Semiconductor Equipment and Materials Institute)が主催する太陽光発電に関する総合展示会「PV Japan 2009」が6月24日から26日までの3日間、幕張メッセにて開催されている。

今回が2回目となる同展は、出展社数が前回から約80社増えた303(社/団体)、出展小間数も同70小間の増加となる599小間、出展国数も前回の10国/地域から12国/地域へと拡大している。

会場風景(一般ユーザーにはなじみの少ない装置メーカーなども多数出展している)

同展のコンセプトは開発から施工までを一堂に紹介することであり、「太陽電池・モジュール」「システム・施工」「検査・測定」「製造装置」「部品・材料」の5つのゾーンで構成されているほか、同時開催の「新エネルギー世界展示会」でも、再生可能エネルギーとして太陽光発電に関する研究成果などが紹介されている。

今回は、同展の中でも、直接一般市場と関わりの強い太陽電池/モジュール関連に出展している企業を中心に展示ブースのレポートを行いたい。

化合物で高効率を狙うホンダ

本田技研工業の太陽電池関連企業であるホンダソルテックのブースでは、同社の独自技術であるCIGS系薄膜太陽電池モジュールの展示が行われている。CIGS系薄膜太陽電池は、Cu、In、Ga、Seの4種類を組み合わせた化合物半導体を発電層に用いたもので、Siを使わないことが特長。

ホンダソルテックの太陽電池システム一式(左)と、発電量などを表示するカラー表示ユニット部分(右)

発電層は2~3μmの厚さで、結晶系Si太陽電池と比べると厚さは約1/80程度となる。展示されているモジュールの発電効率は11.2%で、1枚あたり125Wの発電が可能。エネルギーペイバックタイム(EPT)は100MWの生産規模で0.9年と、poly-Siの1.5年、a-Siの1.1年と比べても短いのが利点だという。

プリウスにも搭載される太陽電池

京セラのブースでは、新型プリウスのオプション「ソーラーベンチレーションシステム」として採用されたソーラーパネルの展示などが行われている。同ソーラーパネルは、搭載にあたり、曲面のあるルーフのデザインに最適な形状とレイアウトを新たに設計したもの。出力は56Wで、太陽電池で発電した電力を使いファンを回して車内の換気を行い、温度の上昇を防ぐことができるという。

新型プリウスのオプションとして提供される「ソーラーベンチレーションシステム」

同社の特長はプリウスへの採用にもつながるが、「インゴットの製造からモジュールまでを一貫して行える体制を構築してあること」(説明員)であり、徹底した品質管理を行っていることにあるという。

また、poly-Siとして電池表面に凹凸を形成し、光の反射ロスを低減させる「d.Blueセル」を採用することで高い効率を実現2006年時点でバックコンタクト技術を用いたセルで変換効率18.5%を達成、2009年秋には同技術を量産モジュールに適用した製品の提供を開始するという。

変換効率18.5%を達成した太陽電池セル(2009年秋ころからモジュールの量産が開始されるという)

加えて同社は野洲工場の立ち上げを2008年より行ってきており、2009年末までに竣工し、一部の設備を導入して生産を開始する計画としている。市場を見て生産能力を順次拡大していくとしており、2011年度には最大650MW/年の生産能力まで引き上げていくとしている。