5月13日から15日までの間、第6回情報セキュリティEXPOが開催された。著名なセキュリティ企業の多くが出展をし、セキュリティ対策の最前線を見ることができた。13日の基調講演では、くしくもセキュリティ企業のトップ2人がともに、「戦い」や「嵐」といった言葉を使い、現在の脅威を表現していた(シマンテック エンリケ T.セーラム氏 トレンドマイクロ エバ・チェン氏)。そのような脅威に対抗するにはどすればよいのか?多種多様なソリューションがあり、個人から大企業まで、適切なソリューションを検討する機会にもなったと思われる。

今回のEXPOでは、大きなキーワードをあげるとすれば、「クラウドコンピューティング」、「エンドポイント」、「内部統制」となるであろう。いずれも、最近のIT環境では、注目されるテクノロジであり、そこにセキュリティ対策の最前線があるといっても過言ではない。本稿では、出展したブースのいくつかをピックアップしたい(五十音順)。

アーク情報システム

アーク情報システムでは、スパム・ウイルスメールをブロックするアプライアンスSpamSniperを展示していた。SpamSniperは、既存のメールシステムを変更することなく、導入が可能なアプライアンス製品である。強力なフィルタリングエンジンによる高いブロック率と、迅速なアップデートを行うことができる。また、情報漏洩の防止にも利用できる。

図 アーク情報システムのブース

ESET

ESETでは、第6回情報セキュリティEXPOの開始直前に、総合セキュリティソフト「ESETSmart Security Ver.4.0」とウイルス・スパイウェア対策ソフト「ESET NOD32アンチウイルス 4.0」を発表したばかりである。ブースではその紹介などが行われていた。最新バージョンとなる4.0では、増加するUSBメモリからのウイルス感染防止機能や更新ファイルのみをスキャン対象とすることで、軽快性を高める機能なども搭載されている。

図 ESETのブース

インターコム

インターコムでは、コストパフォーマンスがウリのMaLion 2.0などのデモを行っていた。MaLion 2.0は、IT統制に求められる各種操作監視機能を標準で搭載する。情報漏洩対策、内部統制強化、IT資産管理を単独で行うことができる。他には、ストレージ監視&バックアップツールのSmartHDD Manager 2.0なども紹介されていた。

図 インターコムのブース

AOSテクノロジーズ

ファイナルデータ(データの復元)、ターミネータ(データ抹消)、NetNanny(インターネットフィルタリング)なども販売するAOSテクノロジーズでは、携帯電話用のフォレンジックツールであるファイナルモバイル・フォレンジックを展示していた。フォレンジックとは、"鑑識"という意味でも用いられ、フォレンジックツールは不正や情報漏洩などの証拠収集を行うツールとなる。ファイナルモバイル・フォレンジックでは、"携帯電話"のフォレンジックを行い、削除データの復元、データ取得、分析を行うものだ。同社では、コンピュータフォレンジックで企業を守るWebサイトも公開している。

図 AOSテクノロジーズのブース

NECグループ

VPNを利用したリモートオフィス、自宅、外出先などで、使われるエンドポイント(社内のイントラネットの端末PCも含む)のセキュリティをいかに効率よく管理するためのソリューションなどが展示されていた。また、新しいVPNアプライアンスとして、UNIVERGE SecureBranchなどが紹介されていた。

図 NECグループのブース

Kaspersky Labs Japan

Kaspersky Labs Japanでは、対象を社内のワークステーションに限定するのではなく、出張先でのモバイル環境のユーザーをも対象にネットワーク環境を包括的に保護する「Kaspersky Open Space Security」、ホームユーザ向けには、Windows Home Server用の「Kaspersky Anti-Virus for Windows Server 6.0 Home Server Edition」などを出展していた。また、次期バージョン、新製品の参考出展も行っていた。

図 Kaspersky Labs Japanのブース

キヤノンITソリューションズ

キヤノンITソリューションズでは、さまざまなソリューションを紹介していたが、興味を引いたのは、ノートPCなどを丸ごと認証・暗号化するCompuSecであった。PCが盗難、もしくが紛失したとしても、正しく認証が行われないと、HDDの中身が暗号化されており、OSの起動すらできないというものである。ブースでは体験版CD配布も行われていた。

図 キヤノンITソリューションズのブース

ソフォス

ソフォスは、コーポレート向けの総合的なセキュリティ対策のソリューションを提供するベンダーである。マルチプラットフォームに対応する共通の検索エンジンを提供している。その性能は高く評価されている。ソフォスのブースでは、「セキュリティ脅威レポート:2009」の冊子を配布していた。非常によくまとまっており、活用したい資料の1つである。

図 ソフォスのブース

東芝

東芝のブースでは、さまざまなソリューションが展示されていたが、PC総合セキュリティアプライアンス「PC運用上手」などのデモが行われていた。V2.3では、新機能として不正PCの検出・排除機能が追加された。また、中小企業向けには、機能を操作監視、操作制御、検疫ネットワークの3つに絞り込んだ「PC運用上手SS」などがある。

図 東芝のブース

トレンドマイクロ

トレンドマイクロは、ウイルスバスター2009で知られるセキュリティ対策ベンダーである。今回は、仮想化されたサーバなどを対象にしたソリューションが数多く展示されていた。最近では、仮想化環境やシンクライアントへの対策が急務となっている状況を反映したものといえるだろう。

図 トレンドマイクロのブース

PFU

ソリューション&サービスから、製品までを販売するPFUでは、PC検疫ソフトウェア「iNetSec Inspection Center」と不正PC検知・遮断システム「iNetSec Patrol Cube」を展示していた。iNetSec Patrol Cubeは、非常に小型なアプライアンスで、既存のネットワークを変更することなく、不正接続防止を行うことができる。参考出展として、iNetSec Inspection CenterとiNetSec Patrol Cubeの連携動作をデモしていた。

図 PFUのブース

Panda Security Japan

「パンダ」のキャラクタをつかったPS(Panda Security)Japanでは、中小企業向けのPanda Managed Office Protection、アプライアンス製品のPand GateDefender Performaなどの出展していた。PS Japanでは、シンクライアント用のアンチウイルスプロテクション「Panda Cloud Antivirus」のベータ版を無料で提供している。マルウェアをクラウドで検出するものである。今後に注目したいものだ。

図 PS Japanのブース

マカフィー

「マカフィー・インターネットセキュリティ 2009」で有名なマカフィーであるが、今回の出展は企業向けがほとんどとなった。企業向けに包括的なプロテクションを行う「McAfee Total Protection for Endpoint」やUSBメモリへのデータコピーをはじめとした記録メディアの不正使用を防止する「McAfee Device Control」、さらには各種のアプライアンス製品を出展していた。

図 マカフィーのブース

ラネクシー

ラネクシーでは、企業向けソリューションとしてWebサーバのシステムダウンを食い止め復旧までの時間を大幅に短縮することが可能な「Acronis」シリーズ、企業内の様々な情報や社員が手掛けた提案書や企画書といった成果物の漏洩を防ぐロギングツール「MylogStar」、暗号化したUSBメモリのみの使用を徹底し不注意による情報流出を防ぐ「DeviceLock」等が来場者の注目を集めていた。なかでも一番来場者の関心度を集めていたアンチウイルスソフト「BitDefender」は「ふるまい検知テクノロジー」の採用により、既知のウイルスはもちろん未知のウイルス検出率を向上させている。

図 ラネクシーのブース