【レビュー】

予備知識ナシでも楽しめる? - シリーズ完全未見の邪道SFファンが新生『スター・トレック』を観てきました

    山田井ユウキ  [2009/05/21]

    『スター・トレック』、観てきました! まずはあらすじからどうぞ。

    人類が宇宙を自由に航行する時代。宇宙を旅していた宇宙船USSケルヴィンは、突然異形の船に襲撃され、なすすべなく宇宙に散ってしまう。何とか攻撃の手を逃れて脱出に成功した小型船の中で、一人の男の子がこの世に生を受けた。彼こそがこの物語の主人公であるジェームズ・T・カーク。22年後、カークは惑星連邦艦隊に志願し、宇宙船USSエンタープライズに乗り込んで宇宙へと旅立つことになる――。

    『スター・トレック』シリーズといえば40年以上前に放送が開始された人気SF作品であり、これまでにTV、映画、アニメなど数々のメディア展開がなされてきた長寿シリーズとして知られていますが、「じゃあシリーズのファンじゃないと楽しめないの?」という心配はご無用!

    今回の『スター・トレック』は、「カークがいかにして宇宙に旅立ち、仲間たちと出会うのか」というシリーズの原点を描いた、いわば"新生スター・トレック"であり、これまでのシリーズをまったく見ていない、もしくは"スター・トレックってスター・ウォーズとどう違うの?"とか思っている超SF初心者の方でも問題なく楽しめる作品に仕上がっているのです。

    何しろ監督を務めたJ.J.エイブラムスからして、「実は私は『スター・トレック』のファンではありませんでした」って言っちゃうぐらいですからね。冷静に考えるとこれ、けっこうギリギリな発言だと思うのですけど……。

    J.J.エイブラムスといえば「LOST」「クローバーフィールド/HAKAISHA」でお馴染みのヒットメーカー

    でもね、本当に面白いんですよ、この映画。何しろ「スター・トレック」シリーズに何の思い入れもなく、* "SFってB級映画ファン的には良い意味で地雷だよね" *ぐらいにしか捉えていない邪道SFファンの僕が、本作を見終わった後に思わず賞賛の拍手を送ってしまいましたから。

    何がすごいってまずその映像美。メインの舞台となるUSSエンタープライズがカッコいいのはもちろん、冒頭に登場する敵の戦艦のデザインが神がかり的に恐ろしい。これはもう、こいつを考えたデザイナーは表彰されてもいいぐらいだと思います。

    もちろん見せ場である宇宙での戦闘シーンも申し分ない迫力で、SFファンも納得の出来に仕上がっています。ハリウッドってこの手の映像を作らせたら本当に期待を裏切りませんよね。

    もちろん映像だけすごくて内容がイマイチな作品も世の中にはたくさんあるのですが、そこについても本作はぬかりなし。 初見の視聴者にもわかりやすく、往年のファンも疎かにせず、かつどちらも飽きさせないストーリー運びはお見事(昔からのシリーズのファンには、思わずニヤリとしてしまう演出がありますのでお楽しみに!)。

    ちょっと気が早いんだけど、これはもう今年公開される洋画の中でナンバー1といっても過言ではない完成度なんじゃないかと思います。

    ……あんまりベタ褒めするとどこかの回し者かと思われそうだけど、純粋に感じたことを書いたらこうなったので仕方ない。

    てことでこの後は、スター・トレックについてあまりよく知らないんだけど……という方に向けて、登場人物紹介をメインにレビューしていくことにします。

    シリーズのファンにとっては新鮮に映るかもしれない若きカーク

    まずは冒頭のあらすじでも触れた、ジェームズ・T・カークを演じるのは、オーディションを勝ち抜いて選ばれた新星、クリス・パイン。

    このカーク、宇宙船のクルーとしての素質は抜群なんだけど、とにかくトラブルメーカーで、それが原因で危うくUSSエンタープライズにも乗れないところだったぐらいの問題児。本作は映像がすごくよく出来ているのでそっちに目を奪われがちですけど、実は彼と、彼を取り巻く人間模様こそが本当の見どころだったりします。

    カークたちが乗船するUSSエンタープライズ。少年の心をくすぐられるめちゃカッコいいデザイン

    お次はもう一人のメインキャラである、スポック。演じるのはドラマ『HEROES』のサイラー役で知られるザッカリー・クイント。

    地球人とバルカン人の混血であるスポックは、カークとは正反対に冷静沈着。クラスに一人いると担任がとっても安心できる学級委員タイプ。それだけにカークとはよく意見が対立し合う水と油のライバル同士で、この二人の関係こそが本作の面白さの核となる部分になっています。

    ちなみにバルカン人って耳が尖っていて髪型が全員坊ちゃん刈りという特徴があるんだけど、それ以外は見た目普通の人間なので、最初はそのへんの設定がよくわからずに、「この地方ではこの髪型が流行っているのかな」とか思っていました。この場をお借りしてすべてのバルカン人に謝りたいと思います。

    続いてウフーラ。本作のヒロイン的存在で、常人離れした聴覚の持ち主。その才能を買われてUSSエンタープライズの通信士として活躍することになるんだけど、それにしても聴覚がものすごく優れているっていうのは、お付き合いする男性にとってはかなり恐ろしい能力かもしれない……というくだらないことをつい考えてしまうのは僕だけではないはず……!

    性格は強気で、仕事をバリバリこなすカッコいい女性ウフーラ

    そして軍医のボーンズ。カークと同期でクルーに志願した男で、初登場シーンでは単なる浮浪者みたいな見た目だったんだけど、次の場面ではいきなり髭を剃った爽やか面になっていて誰もが驚くはず。 個人敵にこの人が一番メインキャラの中で人間臭い性格をしていると思いました。存在感はあまりないですけど……。

    何やら考え込むボーンズ(右)と、なぜか船長の椅子に腰かけるカーク

    また、本作で唯一のアジア系のキャラとして登場するのは、一流の操縦スキルを持つ機関主任のスールー。いぶし銀的ポジションにいる彼ですが、見た目に反して(失礼)フェンシングを得意とする意外な一面も。船を操縦させてよし、戦ってよしの万能キャラとして大活躍します。

    こちらはド派手な宇宙戦争シーン。期待以上の迫力でお腹いっぱいになれます

    最後に17歳の天才少年チェコフ。お待たせしました。本作での萌えキャラ候補です。 まだ新米で色々と頼りない彼ですが、とあるシーンではレーダーで仲間を捕捉するのに天才的な腕を披露するなど、やるときはやる男。たぶん、FPSとかやらせたらものすごく上手い

    この他にもまだまだたくさんのキャラクターが登場するのですが、ひとまずメインキャラはこんなところ。

    元祖「スター・トレック」シリーズのファンの中には40代50代の方も多いと思うのですが、お子さんと一緒に楽しみたい……でもどこらへんから見せるべきかわからない……とお悩みのお父さん方は、入門編としてぴったりな、この新しい『スター・トレック』を親子そろって見に行ってみてはいかがでしょうか。

    (C)2008 Paramount Pictures. Star Trek and Related Marks and Logos are Trademarks of CBS Studio Inc. All Rights Reserved.

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