ハイエンド向けCPU「Intel Core i7」としては破格の価格設定から人気となっている「Core i7-920」。店頭には先月あたりから、新ステッピングのD-0コア採用品が登場している。今回は、そのD-0ステッピング版Core i7-920のオーバークロック性能を試してみよう。

「Intel Core i7-920」のD-Oステッピング品

ちなみに、時節柄、担当編集が貧乏になってしまった関係もあり、実は本稿は筆者の自腹企画であるため、各種の使用機材をいつもよりかなりケチっている。オーバークロックの醍醐味はケチりつつ上のクラスの性能を手にすることにある……と納得いただきたい。まあ、不景気だし、低予算オーバークロックを楽しんでみようじゃないか……というところだ。

※ご注意 : オーバークロックはCPU、マザーボードおよびその他パーツに重大な影響を与える可能性があります。オーバークロックに関して編集部および筆者は責任を負いません。くれぐれも自己責任でお試しください。なお結果は今回のテスト環境下でのものであり、そのクロッククロックでの確実な動作や、実際の製品で同じベンチマークスコアが得られることを保証するものではありませんので、あらかじめご了承ください。

さて、一般的にCPUのステッピング変更は、エラッタの修正や、あるいはより高クロックのモデルが登場する前などに行われる。Core i7の場合、特に大きなエラッタの話題は発表されていない。一方で、C-0ステッピングのCore i7-940やCore i7-965が生産終了となっており、高クロック版の登場が現実味を帯びてきているのが昨今の話題である。なお、現時点でD-0ステッピングのCore i7はCore i7-920のみである。当初はC-0ステッピングとの価格差が3,000円程度あったのだが、発売から時間の経った現在では、既に価格差も解消されつつある。

ステッピングの変更とあわせてCPUIDの変更も行われる。そのため、新しいステッピングのCPUを利用する場合、従来のマザーボードを流用するとなるとBIOSも更新する必要が出てくる場合がある。今回は、最初からD-0ステッピングに対応しているMSI製の「X58M」を用意した。

このX58Mは、実売価格で2万円前後とIntel X58 Expressマザーボードとしては格安な製品。小型なマイクロATXフォームファクタということもあり、本来はあまりオーバークロック向けではないものの、OCジャンパーといった独自オーバークロック機能などを備えていたり、なかなかどうしてな製品なのだ。

本来はオーバークロック向けの製品ではないが、マザーボードは「MSI X58M」を使用した。この製品では、BIOSによるベースクロック設定に加え、OCジャンパーと言うディップスイッチによるベースクロック設定が可能だ

CPUクーラーはサイズの「KABUTO」を、グリスに関してはKABUTO付属のものを利用している。よって、冷却は本格的なオーバークロック向けとは言えないが、それでもリテールクーラーと比べればやや高性能なポジショニングとなる。

オーバークロックでもうひとつ重要なメモリでは、GeILのトリプルチャネルキット「GV33GB1333C9TC」を用いることにした。正式にはDDR3-1333の製品だが、過去のテストでDDR3-1600相当までは動作することを確認できているモジュールだ。

メモリはGeILのDDR3トリプルチャネルキット「GV33GB1333C9TC」を使用。入手したサンプルでテストしてみたところ、DDR3-1600以上での動作も確認できた(この製品はDDR3-1333までのサポートであり、それ以上での動作はサポート外であるので注意)