東急レクリエーションは、6月20日から109シネマズ川崎、菖蒲、箕面の3館内に、新しい上映システム「IMAXデジタル・プロジェクション・システム(IMAXデジタル)」を日本初導入する。それに先駆け、台湾の台北市内にあるIMAXデジタルシアター「台北日新威秀影城」にて「IMAXデジタルシアター」を体験。そのすべてをレポートする。

「IMAXデジタル・プロジェクション・システム(IMAXデジタル)」が日本に初めて導入されるまでの経緯などについては既報の通りだが、このレポートではIMAXデジタル版と、フィルムでのIMAX版、また他の3D方式であるDolby3D版の3つの上映方法で映画「Monsters vs. Aliens」を鑑賞。その違いをレビューする。

台北市内にあるIMAXデジタルシアター「台北日新威秀影城」。ブルーの鮮やかな概観が印象的だ

この映画は3D映画のため、上映方法はIMAXデジタルの3D版「IMAXデジタル3D」での映画鑑賞となる。鑑賞するにあたり、まず3D映画用のメガネを装着する。このメガネは、シンプルでクールな印象のDolby版のメガネよりも、やや大き目の3D偏光グラス(メガネ)となっている。

映画のオープニング1分頃に、あるキャラクターがバンバンボール(ラケットとボールがゴムで結ばれている遊具)で遊んでいるシーンが映し出される。そのボールが客席に飛び出してくる映像をIMAXデジタル3D版で見ると、思わず顔をそらしてしまうほどリアルだ。このシーンで、この作品の3D映像のクオリティの高さが実感できた。

台北市内の「台北日新威秀影城」内にあるIMAXデジタルシアター「Monsters vs. Aliens」の入り口で配布された3D偏光グラス(メガネ)

また、このシーンだけ比較してもDolby版の映像の方がやや迫力が欠ける印象を受けた。Dolby版の映像は暗く、スクリーンも小さいので、ボールの飛び出し方も貧弱に感じてしまうのだ。このことから分かるようにIMAXデジタル3Dの1番のアピール・ポイントは、その映像の明るさと大きさにある。IMAX担当者は、「世界で最も進んでいる映写システムであるIMAXデジタルは、最高の輝度 / コントラスト / シャープネスを備え、特別なスクリーンと相まって観衆を包み込む効果を発揮します。高性能デジタル音響システム、独自設計のピラミッドビューなどにより、他に類を見ないほどの視野拡大と臨場感を生み出すことができるのです」とIMAXデジタルについて自信を覗かせた。

スクリーンの有効長の実質的拡大により、観客はストーリーの中に入り込んだような臨場感を得ることができるとのこと

そのほかにも、明るさについてDolby3D版と比較すると、スクリーンの四隅に大きな違いがあった。Dolby3D版の映像では、フレーム付近に視線を向けると、明るさにムラが出ているのだが、IMAXデジタル3D版は四隅まで明るかった。まるで自分の座っているふたつ隣の席あたりまで映像があるように感じられる。なおかつ映像自体も明るいため、隣の席の客の動向などまったく気にならなかった。IMAX担当者は「シングルプロジェクター3Dシステムに対して250%の明るさを誇ります」とアピールしていた。

左右の映像を照射するIMAXの映写機。台北の「台北日新威秀影城」のIMAXデジタルシアター映写室では、室内温度が22度に管理・設定されていた

この明るさの要因はスクリーンの大きさだけではない。現在の一般的な3D映画は、1台のプロジェクターで左目用の映像と右目用の映像を、瞬間的に交互にフラッシュさせることで、両目で見たときに浮かび上がる映像を作り出していた。しかしIMAXデジタル3Dの場合は、2台のプロジェクターを使用することにより、左目用の映像と右目用の映像が途切れることなく同時にスクリーンに照射されている。これらの相乗効果により、IMAXデジタルの映像は明るく映し出されているのだ。

次にIMAXのフィルム版との違いはどこにあるのだろうか。実際にどちらも鑑賞したが、同じIMAXのフィルム版とIMAXデジタル版との違いはなかなか見出せなかった。IMAX担当者は、より輝度が向上し、よりシャープネスになったとアピールしたが、元々IMAXの映像自体、迫力が従来の映像に比べズバ抜けているため、あまりその差を体感することはできなかった。

IMAXデジタルシアターのアピールポイント

台北の映画館での観客の動向調査では、IMAXデジタル作品はそれ以外の作品に比べ、マーケットシェアが2割以上増加し、通常の上映チケット料金に上乗せされるIMAXのプレミアム料金を払っても、観客満足度は9割前後「満足」と答えているとのこと。 次回は、IMAXデジタルの気になる国内の料金設定などについてレポートしていくことにする。