4月25日より、テアトル新宿ほか全国劇場にてアニメ映画「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」が公開となった。

「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」は、2005年から放送されたTVアニメ『交響詩篇エウレカセブン』をもとにした劇場用作品。テレビシリーズのキャラクターと映像素材を活用しつつも、完全新規のストーリーと大量の新作カットを投入することで、まったく新しい物語として再生させている。

東京、大阪、名古屋、福岡、5月からは札幌でも上映される『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』。6月26日には早くもBlu-ray、DVD、UMDでリリース

■「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」ストーリー概要
西暦2009年、南極大陸で謎の生命体イマージュが発見された。宇宙より飛来したといわれるイマージュは、地球の侵略を開始。以降、人類を統べる人民中央政府はイマージュ攻略のための研究と、殲滅のための戦闘をおよそ半世紀に展開することとなった。
西暦2054年、人民解放軍のホランド・ノヴァクが指揮する戦闘母艦・月光号は、イマージュに攻撃される基地から、最重要機密を確保する作戦を実施する。少年兵レントン・サーストンは、パートナーのニルヴァーシュを駆って基地に潜入。そこに幽閉されていた少女・エウレカと再会する。

左よりレントン役の三瓶由布子、京田知己総監督、エウレカ役の名塚佳織

25日、テアトル新宿にレントン役の三瓶由布子、エウレカ役の名塚佳織、総監督の京田知己氏が駆けつけ、立ち見も出る満席となった会場のファンを前に舞台挨拶を行った。

■三瓶由布子 (レントン役)
「今回劇場版の台本をいただいて、最初見たときに『これ『エウレカセブン』の台本だよな?』というのが一番最初の印象でした。本当に『エウレカ』であって『エウレカ』でない、まったく新しい『エウレカセブン』になっています。自分が本当にレントンとしてもう一度演じられるのが、とても不安な部分はあったんですけど、アフレコ現場で皆さんと一緒にマイクの前に立って演技を始めたら、なんの不安もなくレントンが帰ってきてくれたように演じることができました。新しい命を吹き込まれたレントンとエウレカを堪能していただきたいと思います。3年ぶりにレントンを演じることができて本当に幸せです。その気持ちをこの映画にいっぱい込めましたので、みなさんにも最後までしっかり見届けていただきたいなと思います。スタッフの皆様、この作品を愛してくださっている皆様、本当に今日はありがとうございました」

■名塚佳織 (エウレカ役)
「私も台本を読んだときはあまりの変わりぶりにびっくりしたんですけど、でも『エウレカ』のテーマ性、愛情だったりとか立場の違いによっての葛藤だったりという部分は、シリーズをそのままつなぎながらさらに成長しているものになっているんじゃないかなと思いました。収録のときはレギュラーメンバーがテレビシリーズと同じ席に座って収録をして、3年ぶりに懐かしさと新しいものを作っていくパワーがスタジオ中に広がっていたので、きっといい作品になっているんじゃないかなと思っています。テレビシリーズは1年かけて成長したんですけど、今回は1時間55分でキャラクターがものすごい勢いで成長していくので、ぜひそこに注目していただければうれしいなと思います。3年ぶりにエウレカを演じることができて本当に幸せでした。それも待ってくれる皆さんがいたおかげだと思います。今日は最後まで『エウレカ』の世界を堪能していただければと思います。ありがとうございました」

■京田知己氏 (総監督・脚本)
「今回一番注意したのは公開まで間が3年空いてしまっていることなんですね。3年間の間で自分自身も、スタッフもキャストのみんな3年分成長している。それを考えて作らなきゃいけないのが注意した点でもあるし、苦労した点でもあるかなと思っています。(見どころは)手描きのロボットアニメで空中戦をやるという、冷静に現状を考えると本当に無謀なチャレンジなんですけど、それを今回特技監督の村木(靖)さんにメインに立ってやってもらって、たぶんここ10年なかったような手描きアニメの空中戦が描けたんじゃないかなと思ってます。キャストの皆さんがひと言ひと言魂を込めて演じてくれたのは、やっぱり見ててびっくりしたんですよ。本当にセリフと絵がきちんと伝わると本当にいいフィルムになるんだな、というのをすごい感じさせてもらって本当に感謝しています。ここまでたどり着けたのはスタッフとキャスト、待っていてくれた皆さんの思いがそうさせてくれました。本当にありがとうございます。2時間弱に『エウレカ』のエッセンスは全部詰めたつもりです。楽しんでいってください」


冒頭でもお伝えしたように、『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』は、テレビシリーズの素材こそ使用しているものの、キャラクターの置かれている立場や、世界観設定などはまったく異なる、いわば新しいもうひとつの『エウレカセブン』。監督デビュー作となる『ラーゼフォン 多元変奏曲』で、同作品のテレビシリーズを見事に再構成した京田知己総監督が、本作では自ら脚本も手がけ、再編集映画という枠を大きく乗り越えた新たな作品作りに取り組んでいる。テレビ版のキャラクターが意外なポジションで再登場し、ときに敵味方すらも逆転するという状況は、テレビシリーズに愛着があるファンほど賛否両論を呼ぶかもしれないが、その痛みを押してでも新たに語る価値のある、115分の充実したフィルムとなっている。

ニルヴァーシュと意思を通じることができる少年レントン。8年前に離れ離れになった幼なじみの少女エウレカを戦場で探し求める

軍に拘束され行方不明となっていた少女エウレカ。迫り来る危機のなかで、ついに彼女はレントンと再会する

サプライズ尽くしの本作のなかでも、ひときわの存在感を発揮する幼生ニルヴァーシュ。幼いレントンとともに成長してゆく

レントンが配属される第303独立愚連隊の隊長ホランド。エウレカ奪取を企てる彼に隠された秘密とは……

サーフィンやテクノミュージックといったサブカルチャー、また『機動戦士ガンダム』や『新世紀エヴァンゲリオン』といった、歴代ロボットアニメからの影響を踏まえて作られたテレビシリーズの『交響詩篇エウレカセブン』。そのテレビシリーズの膨大な情報量から『エウレカセブン』ならではのエッセンスを抜き出し、レントンとエウレカの物語として再生させた本作は、『エウレカセブン』が本当の意味でのオリジナルロボットアニメとして生まれ変わった記念碑的作品といえる。テレビシリーズを知る人も、そうでない人もぜひこの新たな作品を劇場で目撃してほしい。

刻印が残された月。劇場版はテレビシリーズの『エウレカセブン』の世界と関係があるのか、それとも……?

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