FPS(ファーストパーソンシューティング)といえば、スピーディーなゲーム展開で楽しませる「スポーツ系」と戦場の緊張感を演出する「リアル系」の2つに大別されるが、ソニー・コンピュータエンタテインメントから4月23日にリリースされた『KILLZONE 2』は、どこもかしこも激しい銃撃戦で、出てくるのはイカツイ野郎だらけと、まさに男臭さ全開のリアル系FPS。生きるか死ぬかのドキドキ感をたっぷりと味わいたいなら、極上のタイトルなのだ。

ソニー・コンピュータエンタテインメントから4月22日に発売された『KILLZONE 2』


美麗なグラフィックスと絶妙のバランスは必見

『KILLZONE 2』は、惑星間の戦いをテーマにしており、惑星間同盟ISAと、ISAからの離脱を宣言した惑星ヘルガーンとの死闘が描かれている。プレイヤーは、ISA軍の精鋭部隊アルファチームの一員となって、圧倒的に不利な状況が待つ敵地ヘルガーンへ乗り込むことになる。すでに海外では発売されており、高い評価を得ているタイトルだが、日本語版では日本語字幕に加え、声優による日本語吹き替えも行われているなど、気合いの入りぶりも要注目である。

FPSというジャンルは日本ではあまり馴染みはないが、海外では超人気。数え切れないほどのタイトルが発売されており、差別化が難しくなっている状況だ。『KILLZONE 2』は、与えられた任務を達成するために銃撃戦を切り抜けていくという、リアル系FPSとしては非常にオーソドックスな作りだが、グラフィックスの美しさとゲームバランスのよさが大きな魅力となっている。PS3専用のタイトルとして開発され、次世代機の性能をフル活用しているだけあって、細部にわたって作り込まれたグラフィックスは圧巻だ。近くだけではなく遠くまで鮮やかに描かれた戦場、そして、弾が当たった箇所にへこみができたり、ドラム缶を撃てば吹っ飛ぶなど物理計算もバッチリ。あらゆるモノが実際にあるかのような演出が盛り込まれている。さらに、砂埃など空気感のある演出も多く、戦場の殺伐とした雰囲気をうまく再現しているあたりが見どころとなる。

イカツイ男たちの戦いを描く超硬派なFPS。いかにも荒くれ者という兵士たちの会話も注目ポイントだ

ゲームの基本は、与えられたミッションをこなしていくオーソドックスな作りだが、絶妙なゲームバランスでグイグイとプレイヤーを惹きつける

ゲームバランスも絶妙だ。飽きさせず、かといって投げ出すほど難しくもなく、要所要所でアイテムの利用や車両の登場といったイベントが盛り込まれており、ゲーム展開が単調になることもない。このテンポのよさは、FPSファンなら「Call of Duty」シリーズに通じるものがあるといえばピンとくるかもしれない。また、操作性もよく、どこに行けばよいのか、何をすればよいのか、どのボタンを押せばよいのか、いま自分がどういった状況にあるのか、そういったことが実にさりげなく、戦場の緊張感を損なわないように示されるのも、テンポのよさにつながっていると思われる。荒くれ者ばかりが登場する無骨さ全開のゲームではあるが、その中身は細かな配慮に満ちあふれているのだ。

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