「Adobe Creative Suite」シリーズの中で、プロユーザも多い製品である「Adobe Creative Suite 4 Production Premium」。CS4では、これまでと同じ制作時間で、これまで以上にクオリティの高い作品の制作が可能だという。この製品に含まれており、映像の合成や加工に用いられるビジュアルエフェクトソフト「Adobe After Effects CS4」についてアドビ システムズのビデオ製品担当の古田正剛氏に訊いた。

さらに使い勝手が向上したAfter Effects

アドビ システムズのビデオ製品担当の古田正剛氏

――まず「After Effects CS4」で主に変更された部分について教えてください。

「これまでのAfter Effectsよりも随所で使いやすくなるような改良を加えました。まずコンポジションのナビゲーションが非常にスムーズになりました。CS3でもネスティングされたコンポジションをダブルクリックすることで、中のコンポジションを開いていくことができましたが、ネスト構造が深くなると自分がどの階層で作業をしているのかが解りづらくなります。そのため従来は『フローチャートビュー』という機能で全体像からの把握を行っていましたが、さらにコンポジション間の移動を簡単にするため、パネルに『パス表示』を加えました(図1参照)。クリックしていただくだけで目的とするコンポジションに素早く移動することができます。また『ミニフローチャート』も付きました(図2参照)。これもナビゲーション作業に大変便利です。そのほか、タイムラインに『検索ボックス』(図3参照)がつき、コンポジション間の操作性が大幅に向上しています」

図1

図2

パネルにパス表示がついて、ネストしたコンポジション間の移動が容易になった

コンパクトで使いやすいミニフローチャート

図3

タイムラインの検索ボックスで作業対象を素早く見つけられる

――CS4になり、3Dへの対応が強化されたそうですね。

「これまでAfter Effectsの3D空間は画像やテキストレイヤーといった平面情報(2D)しかありませんでした。しかし3D専用のアプリケーションを使っているユーザー様から、そのままオブジェクトを読み込みたいというご要望を多くいただきました。そこで直接読み込めるわけではありませんが、『Photoshop CS4 Extended』で3Dオブジェクトを読み込み、そのPSDデータをAfter Effectsで読み込むことができるようになりました(図4参照)。また3Dのカメラツールが強化され、3ボタン式マウスでX / Y / Z軸全ての操作が可能になりました。右クリックしてドラッグするとZ軸のムーブが可能になり、マウスのホイールボタンを押すとXY軸が動きます。また、今まで一緒にしか設定できなかったX / Y / Z軸を個別に位置パラメータ設定することが可能になりました」

図4

「Photoshop CS4 Extended」経由で3DオブジェクトをAfter Effectsにスムーズに読み込むことができる

――新たに追加されたエフェクトである「カートゥーンエフェクト」や、テープレスメディアへの対応について教えてください。

「カートゥーンエフェクトとは、実写をセルアニメ調に加工するエフェクトで、スタイライズの中に追加されました。エッジと塗りを調整することで、セルアニメのようなトーンに変化します(図5参照)。またテープレスメディアへの対応については、従来のAfter EffectsではPanasonicのP2に対応していましたが、今回からはさらに、SONYのXDCAM HD / EXと、コンシューマ向けカメラで普及しているAVCHDのファイルを直接編集できるようになりました」

図5

カートゥーンエフェクトは、実写をセルアニメ調に加工するエフェクトだ