【レビュー】

BOOK REVIEW - 中学生でも理解できる!? ネットワーク用語解説の決定版

    本多義則  [2009/03/25]

    本稿を読まれるような皆さんは、普段からパソコンやインターネットを使っていると思います。そこで質問です。次に挙げる用語をきちんと説明できますか?

    • TCP/IP
    • プライベートIPアドレス
    • VPN
    • スイッチングハブ
    • DHCP
    • POP

    どうですか? ITエンジニアを数年もやっていれば自然と覚えてしまうこれらの用語も、知らない人からするとアルファベットとカタカナの羅列で暗号のように聞こえるかもしれません。

    聞いたことはあるけどちゃんとは理解していないという人の中には、「そんなことを説明できなくても日々の仕事はできているさ」という意見もあるでしょう。もちろん、すべての人がこれらのネットワーク用語を説明できなくてもいいのです。自動車のエンジンの構造を知らなくて車の運転はできるのと同じように、ネットワークの知識がなくてもメールも書けますし、インターネットも使えます。でも、あなたがITエンジニアであるならば、上に挙げたネットワーク用語は(他人に説明できる程度に)理解しておいたほうがよいでしょう。

    ひと昔前はネットワークはコンピュータ業界でも特殊な分野でした。しかし現在ではコンピュータはネットワーク接続されてなんぼの時代です。ネットワーク技術はエンジニアのみならず、企画、営業、ユーザと、この業界のすべての人が知っておかなければならない知識になっています。

    本書『図解でよくわかるネットワークの重要用語解説』(きたみりゅうじ 著)は上に挙げたようなネットワークの重要用語をわかりやすいイラストと文章で説明した解説書です。「図解」と銘打った入門書は多数ありますが、理解を助けるための図のはずが、読んでみるとすごくわかりにくいものであることがよくありますね。

    しかし本書は違います。著者のきたみりゅうじさんは、元プログラマで、現フリーのライター兼イラストレーター兼まんが家…とかいう、よくわからない肩書きだそうですが(ご本人のサイトより引用)、皆さんもあちこちのサイトできたみさんのまんがを目にされたことがあると思います。SEの悲哀に満ちた生活を題材にしたものが多いですね。このように元プログラマで現まんが家の方が著者なので、イラストの解説が非常にわかりやすいのです。難しい内容をいかにわかりやすく例え話で説明できるかはひとつの才能ですが、きたみさんのこの本はまさにそれです。

    難しい専門用語をわかりやすい例えとほのぼのしたイラストでやさしく解説!

    もし、あなたが4月からIT業界に就職する人で、ITに詳しくない場合は本書をお薦めします。また、IT業界に就職して2年ほど経ち、先輩から指示された仕事は、まあなんとかできるようになったかな…という人で、周辺のIT技術を広く勉強したい場合も本書は役に立ちます(私の部下の入社2年目の若手技術者も、本書をパラパラとめくって「これは読んでみたい」と言っておりました)。用語のレベルが若手がちょうど知りたいレベルであることと、とっつきやすいイラストのためでしょう。エンジニアではないけれど日々の会話の中でネットワークがらみの専門用語が出てきてよくわからない…という人も、一度本書で基本用語をざっと理解してみるとよいでしょう。

    持ち上げてばかりと言われそうですが、この本は2003年に最初に出版され、3年ごとに改訂、今回は改訂3版として出版されました。2度も改訂されたということは売れている証拠なので皆さんも安心して購入することができます。

    IT業界の資格試験として基本情報処理技術者試験というのがありますが、本書のレベルはこの試験のネットワーク分野で出てくるレベルと考えてよいでしょう。

    出版不況にもかかわらず、いまどきめずらしく帯までカラー! 売れてる本の証拠です!?

    本書で取り上げられている他の用語をご紹介しましょう。「OSI参照モデルとTCP/IP基礎編」では、OSI参照モデル、パケット、サブネットマスクなどが、「ローカル・エリア・ネットワーク編」では、スター型LAN、バス型LANといったネットワークトポロジーや、PLC、Bluetoothといった最近の用語が、「ワイド・エリア・ネットワーク編」では、WAN、専用線、ADSL、WiMAXが、「ハードウェア編」では、NIC、リピータ、ブリッジ、ルータ、MACアドレスが、「サービス・プロトコル編」では、DNS、NetBIOS、PPP、ファイアウォール、NATが、「インターネット編」では、HTTP、SMTP、IMAP、SSL、MIME、XMLが、「ケータイ編」では、マイクロセル方式、フェムトセル、ローミング、SIMカードなど、計115の用語が出てきます。

    中にはOSI参照モデルなど、知らなくてもいいのではないかと思える用語もあります。またSETは今では全く使われていないプロトコルなので不要ではないかと思いました。しかし情報処理技術者試験の過去問をみると、OSI参照モデルもSETも出てくるので、やはり過去の歴史として知っておいたほうがよいのかもしれません。ということで本書は情報処理技術者試験の対策にも役立つということになります。

    このようにエンジニアの人には最初の一冊として、それ以外の人には専門用語のおおまかな理解をするために本書をご活用ください。きたみさんにはぜひネットワーク以外の分野で本シリーズを書いていただきたく期待しております。

    改訂3版 図解でよくわかるネットワークの重要用語解説

    きたみりゅうじ 著
    技術評論社
    2009年4月25日 発行
    A5版 / 288ページ
    ISBN978-4-7741-3821-3
    定価 1,980円 + 税

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