これが最後のInternet Explorer(以下、IE)になるのかもしれません。Microsoftは、2009年3月20日(日本時間)に最新版となるInternet Explorer 8をリリースしました。市場シェア争いに起因するWebブラウザ戦争は、Windows 98の爆発的普及と相まって、IEが大幅なシェアを勝ち取ることに成功。しかし、セキュリティホールの修正に対する遅さや、新機能への消極性も影響し、後続する次世代Webブラウザに少しずつシェアを分け与えてしまいました。強いてIEの弁護をすれば、デファクトスタンダードの地位を獲得したIE6に対し、ドラスティックな変更になりかねない新機能の追加は難しかったのでしょう。

IEを取り囲む変化のひとつに、Webブラウザが担う役割があります。従来はWebコンテンツを的確かつスピーディにレンダリングすることだけを求められていました。しかし最近では、AjaxのようにJavaScriptとXMLを用いた新ユーザーインターフェースが普及し始め、JavaScriptエンジンのパフォーマンスが、Webブラウザ全体のパフォーマンスと捉えられるようになり、IEは他の次世代Webブラウザに後塵を拝するようになりました。

また、MicrosoftはWindows Azureの発表からもわかるように、現行OSを維持しながら、クラウドコンピューティングへ視野を広げています。インターネットの向こう側からサービスを受けるクラウドコンピューティングが普及しますと、Webブラウザの存在意義はOSのそれと同等になるため、同社はInternet Explorerというパッケージをバージョン8で最後にし、HTMLレンダリングエンジンを変更した「Gazelle(開発コード名)」の開発を進めているという噂も。Gazelleに関しては主題とずれてしまいますので割愛し、本稿ではIE8の新機能や特徴を探っていきます。

IE8のインストール

今回リリースされたIE8は、日本語を含む25カ国語とWindows XP/ Vista/ Server 2003/ Server 2008(各64ビット版含む)に対応し、いずれもInternet Explorer 8公式サイトからダウンロード可能です(図1~5)。

図1: WebサイトからダウンロードしたIE8~.exeをダブルクリックし、セットアップウィザードを起動したら、<次へ>ボタンをクリックします

図2: IE8を使用する上で必要なライセンス条項が表示されますので、内容を確認し、同意できるようであれば<同意する>ボタンをクリックします

図3: セットアップ前にIE8の更新プログラムの導入をうながされます。更新プログラムも同時に導入できるため、<更新プログラムのインストール>にチェックが入ったまま<次へ>ボタンをクリックして先に進みましょう

図4: すると更新プログラムの確認およびダウンロードから、IE8のインストールなどが自動的に行なわれます。作業時間は5分程度でした

図5: IE8のセットアップウィザードが完了しますと、OSの再起動をうながされます。<今すぐ再起動する>ボタンをクリックして、Windows OSを再起動すればセットアップ完了です