【インタビュー】
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生命保険ほど、価格設定が不明確で、比較もできない商品はないと言い切る、生命保険業界の風雲児、ライフネット生命保険(以下、ライフネット生命)社長・出口治明氏。前回に引き続き今回は、生命保険料の価格設定がどう行われているか、そのカラクリと実際の原価について解説してもらう。
――前回も生命保険料の原価について、カンタンに解説いただきましたが、もう少し詳しく教えていただけますか?
出口「生命保険料は保険の原価にあたる部分『純保険料』と生命保険会社の運営費や営業経費、すなわちセールスパーソンへの給与などの手数料部分にあたる『付加保険料』の2つから構成されています。前回も説明しましたが、純保険料の部分は、契約者の年齢による死亡率などによって算出されるので、どこの保険会社でもほぼ同じ金額になります。
違いは経費部分、つまり手数料にあたる『付加保険料』をどれほど上乗せしているかという点です。付加保険料設定に関しては大きく3つのチェックポイントがあります。
まず、第一は、そもそも実際の経費にどれくらいかかっているかということです。生命保険会社は装置産業型の金融機関ですから、いわゆる共通経費(オーバーヘッドコスト)が大きな割合を占める傾向にあります。
次に販売経費、代表的なものとしてはセールスパーソンへの手数料といった経費がどのくらいかかっているのかということも重要です。私はその部分が高いから悪い、安いからよいということをいうつもりはありません。電話1本でセールスパーソンが来るのだから、毎月5,000円払ってもいいと思えばそれでいいのです。でもセールスパーソンが電話で来るだけで、毎月5,000円は嫌だ、私は毎月800円ぐらいしか払いたくないと考えれば、メーカーと消費者が直結しその間にセールスパーソンを置かないライフネット生命を選んでくださればいいというわけです。
そういうことがわかる情報が公開されて初めて、お客さまが、自分の意思で生命保険を選択できるようになるのではないでしょうか?」
――営業経費の件はつい、高くとっているのではないかなどと、私たち消費者は被害者意識をもってしまいがちですが、確かにそこは価値観の差ですから、選択は自由ですよね。ただ、選択するための情報が公開されていないのが、問題ということですよね。
出口「そうです。しかし、付加保険料設定の問題は、高いか低いかだけではありません。第2のチェックポイントとして、商品ごとの経費率格差があげられます。生命保険商品には、たくさんの種類があります。死亡保険や医療保険などの掛け捨て保険から貯蓄性の強いこども保険や年金保険などの生存保険まで、幅広いラインナップがあります。このなかで、どの商品からも同じ割合で経費を差し引いているのかという点です。
生存保険に契約した人は、毎月1万円の積み立て保険に加入して、1年後に解約すれば、積立金はおそらく12万円はあるはずだ、と思われるでしょう。ところが、死亡保険の場合、毎月1万円の保険料を支払っても、1年後に解約した場合、解約返戻金がゼロでも、自分の12万円は、この1年間に亡くなった人のために使われたのだと、納得できるのではないでしょうか。この例のように、積み立て保険のような生存保険は、消費者が"預金"との連想をしやすいものである為、手数料を乗せにくい商品特性があります。ところが、死亡保険や医療保険は預金のような比較対象がない為、手数料を埋め込みやすいのです……続きを読む。」
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