インタビューも撮影もノリノリで臨んでくれたエリック・マーティン

90年代、「TO BE WITH YOU」などのヒットで一世を風靡したアメリカのロックバンド、MR.BIG。そのボーカリストであり、昨年には『MR.VOCALIST』をヒットさせたエリック・マーティンが、3月4日リリースの『MR.VOCALIST 2』で世界の歌姫のカバーに挑戦。また、今年6月にはMR.BIG再結成ツアーが行われる。ここにきて活発な動きを見せているエリックに、最新アルバムについて、そしてMR.BIG再結成への思いを語ってもらった。

――前作『MR.VOCALIST』では、日本の女性アーティストのバラードをカバーし、10万枚を超える大ヒットを記録しました

エリック・マーティン(以下エリック):「まさかこんなにヒットするとは夢にも思っていなかったよ。誠実に自分らしく作ったことが、MR.BIG時代からのファンに限らず、多くのリスナーに受け入れてもらえた理由なんじゃないかな。僕自身、女性アーティストの楽曲をエッジの効いたバラードに仕上げたことに、すごく満足しているからね」

――最新作『MR.VOCALIST 2』では世界の歌姫のバラードをカバーしています。今回はファン投票をもとに選曲されたそうですね

エリック「僕にとって聞きなじみのある、好きな曲が選ばれるといいなと心の中では思っていたんだ。実を言うと、前作の制作は大変だった。なによりJ-POPの曲は、アメリカのヒット・ナンバーと比べたら曲の構成もまったく違うからね。1曲の中に10曲分のメロディが詰まったようなものが多くて、まるでショート・ストーリーが10話ある1つの劇を見た気持ちになるんだよ。前作を作っている間、このままだと永遠に終わらないんじゃないか? と思うこともあったくらい(笑)。アメリカ人としては、やはり今回のほうが作りやすかった部分はあるよね」

――シリーズを通じて、女性アーティストの曲を男性であるエリックさんが歌うことで、大変だった部分もあったのでは?

エリック「レコーディングしてみて思ったけど、女性ボーカリストの声は男性よりも力強いんだよね。女性の曲と男性の曲とでは声の出し方もまったく違うし、すごく大変だったよ。ただ、70年代に少年時代を過ごした僕にとって、『You’ve Got A Friend』(キャロル・キング)や『SUPERSTAR』(カーペンターズ)みたいに、子供の頃から聴き慣れた曲が選ばれて歌えたことは本当にありがたかったね」

――それにしても、後にMR.BIGで活動することになるエリックさんが、小さい頃にカーペンターズを聴いていたとは意外でした

「前作『MR.VOCALIST』は、電気を消してワインを飲みながら聴きたくなるような雰囲気だったよね。あるいは奥さんとか愛する人とバレンタイン・キッスをしたくなるような(笑)」

エリック「MR.BIGはたしかにヘヴィメタル系の"バカテク集団"ではあるけど、同時にポップ・バンドでもあると思っているんだ。それに考えてもみてくれよ。男ってのはよ、やっぱり女なしには生きていけないものだろ?(笑) どんなに野獣のような男でも、女性と一緒にいる時のように心を落ち着けたい瞬間があるのさ。音楽にしても、激しい曲ばかりじゃなく、ときにはロマンティックな曲だって聴きたいじゃないか!」

――そういう瞬間に聴きたくなる曲の1つに、「SUPERSTAR」があるわけですね

エリック「そう。だからこの曲を選んでくれたファンには本当に感謝しているよ」

――「Time After Time」では、ウクレレ奏者のジェイク・シマブクロさんもゲストで参加されていますね

エリック「実を言うと、彼との出会いは偶然なんだ。昨年の来日中、スタジオに籠もっていたら、たまたま隣のスタジオを使っていたのがジェイクでね。彼のことは映像で見て知っていたから、ぜひ会いたいと思って挨拶に行ったんだ。実際に彼の演奏を目の当たりにした時、1曲弾いてくれたら嬉しいなと思って、『僕のアルバムに参加してくれないかな?』と話してみたら、快くOKしてくれたよ。『Time After Time』をきっかけに彼との友情が生まれて、すごく嬉しかったね」