今年の1月、「BMW X3」が本国ドイツで2009年のイエローエンジェル賞を受賞したというニュースが届いた。ロードサービスを受ける機会が最も少なく、高い信頼性を備えるクルマに贈られる賞である。しかもBMW X3の受賞は2年連続だという。BMW X3の高信頼性の秘密はどこにあるのか、ビー・エム・ダブリューに話を伺った。

イエローエンジェル賞とは?

まずはイエローエンジェル賞について。これはドイツの「ADAC」(Allgemeiner Deutscher Automobil-Club:ドイツ自動車連盟)という、日本でのJAFに相当する組織が定めているもの。ドイツではADACが行なうロードサービスを「イエローエンジェル」と呼んでおり、その出動回数が少なく、なおかつ機関誌「ADAC motorwelt」の顧客満足度調査を加味してイエローエンジェル賞を定めている。簡単に言えば、故障が少なく信頼性が高いクルマに贈られる賞である。

イエローエンジェル賞の対象はドイツ国内における車齢1-6年の車両で、過去3年間に大幅な仕様変更がなく、毎年10,000台以上生産されたモデルとなる。ロードサービスに出動した全件数を集計し、登録されたモデルの1,000台あたりの故障件数に基づいている。

ちなみに日本でロードサービスを行なっているJAFは、そういった賞は設けていない。しかしどういったトラブルが多いかは毎月公表しており、JAFのロードサービスのページから見ることができる。

ドイツでイエローエンジェルが公開されているのは自動車保険も関係するようだ。「イエローエンジェルだけを元にしているわけではありませんが、ドイツではクルマによって保険料が変わります。当然BMW X3のように信頼性の高いクルマはそのぶん保険料が安くなります」(ビー・エム・ダブリュー 佐藤毅氏、以下同)。

ビー・エム・ダブリュー
BMWマーケティングディビジョン プロダクト・マネジメント プロダクト・マネージャー 佐藤毅氏

取材後ガレージに下りて、BMW X3を前にあれこれ話を伺った

都内をドライブ。それでもクオリティの高さは伝わってくる

開口部が広いBMW X3のサンルーフ。とても快適

BMXを搭載したところ。BMW X3にはアクティブな使い方が似合う

トランク下には工具入れや収納スペースがある

"BMWらしい"に基づいた信頼性

BMW X3は小型SUVとして2004年に誕生した。室内が広く取れる高めの車高と、BMW独自の4WDシステム「xDrive」が特長。先に登場したBMW X5が5シリーズをベースにしているのに対し、BMW X3は3シリーズを元にしているため、ボディがコンパクトに収まっている。「取り回ししやすい大きさで視界がいいことから、都市部で使われる方にもBMW X3はご好評をいただいています」とのこと。現在、BMW X3は2.5L(リッター)と3.0Lの2モデルをラインナップしている。どちらも直列6気筒エンジンだ。BMW X3は2008年11月までで、全世界で50万台を販売した。

BMWとして、高信頼性の基準などは何かあるのだろうか? 「抽象的ないい方ですけども、BMWらしい走りができるかどうかがまずあります。その上での信頼性であるとか、BMWらしいクオリティを目指しています」。SUVのBMW X3でも走りを重視しているのだろうか? 「もちろんです。例えば前後輪の荷重比は、通常のセダンと同じように50:50に揃えています。3シリーズと遜色ない走りを可能にしています」。

"BMWらしい"というのはどういうものだろう? 「そうですね、ドライバーの思った通りに反応してくれるということでしょうか。ドライバーの意図する動作にリアル反応してくれる、イメージと実際の動きの差が少ないといったものと考えてください」。

BMW X3は3シリーズに対して何か補強をしているのだろうか? 「X3といってもコンペティショナルマシン(競技車)ではありませんから、部分的な補強は行なっていません。そういった部分的なものではなく、大切なのはトータルでのBMWとしての信頼性が保てるかどうかです」。しかし、BMW X3であれば悪路走行なども考えられるが……。「例えば3シリーズでも山奥のスキー場へ普通に行くことができますよね。信頼性はBMW全体のものなんです。強いて違いを挙げるならxDriveでしょうか。走破性が高いというだけでなく、路面状態や横Gなどを察知して瞬時に横滑りを抑えます。滑らなければぶつけることも少ない。信頼性をバックアップしてくれるのがxDriveですね」。

BMW X3のxDrive透視図。フロントへの駆動はトランスミッションの後ろから前へ伸びたシャフトで行なう

BMW X3のドライブトレイン。走りを支える重要な部分。サスペンションはフロントがストラット、リヤはセントラルアーム式

BMW X3の生産ライン。まだ塗装前の、ホワイトボディと呼ばれる状態

完成直後の最終チェックの様子。テストベンチに掛けられている

BMW X3のエンジンルーム。美しく6気筒エンジンが収まる

アンダーボディ。空力と小石などから守るために広い範囲をパネルでガードしている

日本でも行なう徹底的なテスト

信頼性を高める単純な方法は頑丈にすること。クロスカントリータイプの4WD車はこの手法を取ることが多い。しかし、ボディが重くなるというデメリットもある。「そうならないようにチタンやマグネシウムなどの高価な部材を使ったり、構造を工夫して軽量化に努めています。重くなると走りにも影響しますし、もし衝突事故などを起した場合には相手に与えるダメージも大きくなりますから」。BMWの考え方は徹底している。

「私が言うのもヘンですが、BMWのこだわりというのはすごいです。開発スタッフはもちろん、それ以外の社員も"BMWはこうじゃなくちゃいけない"というイメージを強く持っています。それは走りや信頼性だけでなく、エンジン音やシートの革の馴染み具合まで、全部がそうなんです。開発のテストも徹底的にやっています」。

テストはどういったところでやっているのだろうか? 「雪の多い国にも持っていきますし、暑いほうではアリゾナ砂漠でもテストを行なっています。日本でもやっていますよ。北海道のウインターテストもやりますが、東京の渋滞と真夏の暑さの組み合わせは他の国ではあまりない環境ですね。それと首都高速の路面のつなぎ目。スーっと来てドンとショックがあるのが特長ですが、あれを抑えるのはヨーロッパの石畳より大変だそうです」。計器なども持ち込んでいるのだろうか? 「もちろん計測もしていますが、重視するのは人の五感ですね。乗っている人がどう感じるか。結局BMWはそこなんです」。

取材を終えて、BMWの信頼性は信念に基づいたものなのだと感じた。企業なのだからコスト計算だとか生産性も当然重要なのだろうが、その前に"BMWであること"という思いを強く感じたインタービューだった。

4輪駆動モデルらしく、ダートでもそつなく走る

高めの最低地上高が与えられているのでこういったシーンも平気

寒冷地でのテストも行なわれる

オンロードではBMWらしいドライビングを実現

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