2月18日から20日までの3日間、東京ビッグサイトにて、「国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nano tech 2009)」が開催されている。また、同展と併せて、「ナノバイオ Expo 2009」「国際先端表面技術展・会議(ASTEC 2009)」「第38回 表面処理材料総合展(METEC '09)」「Convertech JAPAN 2009」「新機能性材料展 2009」「Printable Electronics 2009」の6展が併催されている。

nano tech 2009の看板

nano techは、日本のナノテク関連企業のみならず、「スペインパビリオン」や「英国パビリオン」「韓国パビリオン」「ドイツパビリオン」「台湾パビリオン」「フィンランドパビリオン」「カナダパビリオン」といった、各国の企業を集めたパビリオン、海外企業の日本法人なども出展しているナノテクに関する展示会。商談向けの展示会というよりは、各企業や研究所が研究開発中の技術を展示し合い、シーズとシーズ、シーズとニーズのマッチングなどを模索するといった色合いが強い。

そのため、通常の展示会とは異なり、展示説明員も実際に研究所で研究に直接携わっている人物などが行っており、今回話した説明員の方の中にも、実際に先日開催されたISSCC 2009でスピーチを行った方などがかなり居られたので、実際にそういう人達と話をしたい人は行ってみると良いかもしれない(ただし、Webサイトにて事前登録をしていないと入場料として3,000円かかってしまうので注意が必要だ)。

今回は、そうしたナノテク関連の展示の中から、カーボンナノチューブ(CNT)およびプリントエレクトロニクス関連の技術紹介を行っていた企業や研究機関などの紹介を行う。

会場風景

NEC - 印刷法を用いたCNTトランジスタ

NECは、最近プレスリリースした複数の技術を出展していた。CNT関連では、2月17日にリリースしたCNTトランジスタの構成要素すべてを印刷で形成する技術を用いて作製したフレキシブルCNTトランジスタの基板を展示している。

すべての工程を印刷法で形成したCNTトランジスタの基板

同トランジスタの概要は先日の記事の通りだが、技術者の説明によると印刷とは言いつつも、ディスペンサを用いてインクを滴下する方法を取り入れたとのこと。各工程のインクをポリイミド基板に滴下していくことでp型のトランジスタを構成している。

CNTのよる印刷トランジスタの概要とその特長

n型のトランジスタについてはというと、「今回の成果としては出していない」としながらも、「チャネルの材料を変更することで対応が可能」という。また、CMOS化やTFT化も可能だという。

CNTは単層CNT(SWCNT)を使用。多層CNT(MWCNT)ではどうか、というと「金属的な性質が出たため、SWCNTの方を選択した」という。

印刷法によるCNTトランジスタの性能は従来プリンタブルエレクトロニクスで用いられてきた有機材料と比べ約100倍の動作速度向上が期待されているが、この速度については、「プロセスの微細化によってさらなる高速化が見込める」という。ただし、滴下による製造のため、「数μm程度が限界」としているが、「微細化以外にも速度を向上させる方法としては、CNTの高品質化や長さを一定にそろえる方法」などがあるとしており、そうしたことを地道に行っていき、市況の状況次第だが、数年以内にはビジネス化にこぎつけられればという期待を語っていた。