エンタテインメントには、不思議な力がある

宅間孝行(サタケミキオ)
1970年生まれ、東京都出身。1997年、武田秀臣とともに劇団『東京セレソンデラックス』旗揚げ。同劇団主宰にして座付作家、演出家、役者も兼務。『アタックNo.1』(2005年 テレビ朝日系)、『花より男子』(2005年 TBS系)、『花より男子2(リターンズ)』(2007年 TBS系)、『歌姫』(2007年 TBS系)などの人気テレビドラマの脚本をサタケミキオ名義で手がける。映画『ヒートアイランド』(2007年)、映画『花より男子F』(2008年)の脚本も担当。俳優としては、宅間孝行名義で『新選組!』(2004年 NHK)、『タイガー&ドラゴン』(2005年 TBS系)、『鹿男あをによし』(2008年 フジテレビ系)、『瞳』(2008年 NHK)、『つばさ』(2009年 NHK)など多数の作品に出演。『同窓会』(2008年)で映画監督デビュー。脚本・主演も務める。現在、TBSラジオ『サタケミキオと宅間孝行』(毎週日曜日21:15~21:45)、『映画の達人~Filmania~』(フジテレビ系 毎週木曜日25:45~26:15)でMCを務めている。映画『同窓会』の原作小説『愛について考えてみないか』(講談社刊)も執筆

人気劇団・東京セレソンデラックス主宰にして、人気脚本家・サタケミキオとしても認知されている俳優・宅間孝行。彼が初めて監督・脚本・主演を務めた映画『同窓会』のDVDが発売された。高校時代の初恋相手と結婚したひとりの男の離婚と、それをきっかけに巻き起こる様々な悲喜劇を描いたこの作品を手がけた宅間(サタケ)に話を訊いた。

――『同窓会』はサタケさん初の映画監督作品ですが、実際に監督されてみていかがでしたか?

サタケミキオ(以下、サタケ)「これまで様々な現場で監督の仕事を見てきたつもりだったのですが、自分で監督してみると未知の世界でしたね。現場にいて、自分が何処にいればいいのかもわからない(笑)。居る場所も、まず最初に何をするのかもわからないまま、常に100パーセントの気持ちでいたので、力が入りまくりで大変でした」

――自身の映画監督作品ということで、舞台とはまた違う何かがあったとは思うのですが、脚本を書かれた時、意識したことはあるのですか?

サタケ「実は、一番最初は『脚本を書いて』という依頼で、監督や出演の事を考えて書いたわけではないんです。『1本の面白い脚本を書く』という意識で書かせていただきました」

――サタケさんは『同窓会』で何を描きたかったのでしょうか?

サタケ「何かテーマを見せるというよりは、エンタテインメントです。観て笑えたり、グッときてしまったりという事ですね。エンタテインメントって、それによって気持ちが豊かになったり、身体が軽くなったり、そういう不思議な力ってあるじゃないですか。笑ってもらえて、楽しんでもらえれば、それでいいですね」

――この作品は『ある夫婦とその周囲の人々やエピソードを描く群像劇』ですが、こういう作品のエンタテインメント性をアピールするのに難しさを感じたりする部分はないですか?

サタケ「僕らのお芝居は、この映画のような世界観なんです。それを観客の皆さんは物凄く楽しんでくれているので、実は世の中に一番需要があると思うんですよね。舞台も映画も『つまらない』と思われると足が遠のくし、観てもらえなくなる。だから創り手は、規模やスケールに関わらず面白いエンタテインメントがあるという事をちゃんと伝えていかなければいけないとは思いますね」

――『同窓会』をこれから観る人に、ひとことお願いします。

サタケ「劇場公開時は知らなかったという人もいるかもしれませんけど、意外と面白かったと言って貰えると思います(笑)。この作品はラストに仕掛けがあって、そこに目が向かう人もいると思うんですが、それがわかったからダメという作品ではないですし、仕掛けをバレないように話を進めていくという手法で作ってないですから、素直に見て欲しいですね。主人公たちの、若い頃のディテールだとか、人の気持ちが時間と共にどう変わっていくかとか、そういう部分を楽しんで欲しいですね」

同窓会

映画プロデューサーの南克之(宅間孝行)は高校時代の初恋の相手・雪(永作博美)と結婚しながらも不倫し、離婚を切り出す。雪はあっさりと離婚を承諾し、克之は次回作品のロケのため地元に帰省。地元で20年前の雪との様々なエピソードを思い出す克之に、雪の親友から衝撃的な事実が伝えられる……。
(C)2008「同窓会」製作委員会