エンタテインメントには、不思議な力がある
人気劇団・東京セレソンデラックス主宰にして、人気脚本家・サタケミキオとしても認知されている俳優・宅間孝行。彼が初めて監督・脚本・主演を務めた映画『同窓会』のDVDが発売された。高校時代の初恋相手と結婚したひとりの男の離婚と、それをきっかけに巻き起こる様々な悲喜劇を描いたこの作品を手がけた宅間(サタケ)に話を訊いた。
――『同窓会』はサタケさん初の映画監督作品ですが、実際に監督されてみていかがでしたか?
サタケミキオ(以下、サタケ)「これまで様々な現場で監督の仕事を見てきたつもりだったのですが、自分で監督してみると未知の世界でしたね。現場にいて、自分が何処にいればいいのかもわからない(笑)。居る場所も、まず最初に何をするのかもわからないまま、常に100パーセントの気持ちでいたので、力が入りまくりで大変でした」
――自身の映画監督作品ということで、舞台とはまた違う何かがあったとは思うのですが、脚本を書かれた時、意識したことはあるのですか?
サタケ「実は、一番最初は『脚本を書いて』という依頼で、監督や出演の事を考えて書いたわけではないんです。『1本の面白い脚本を書く』という意識で書かせていただきました」
――サタケさんは『同窓会』で何を描きたかったのでしょうか?
サタケ「何かテーマを見せるというよりは、エンタテインメントです。観て笑えたり、グッときてしまったりという事ですね。エンタテインメントって、それによって気持ちが豊かになったり、身体が軽くなったり、そういう不思議な力ってあるじゃないですか。笑ってもらえて、楽しんでもらえれば、それでいいですね」
――この作品は『ある夫婦とその周囲の人々やエピソードを描く群像劇』ですが、こういう作品のエンタテインメント性をアピールするのに難しさを感じたりする部分はないですか?
サタケ「僕らのお芝居は、この映画のような世界観なんです。それを観客の皆さんは物凄く楽しんでくれているので、実は世の中に一番需要があると思うんですよね。舞台も映画も『つまらない』と思われると足が遠のくし、観てもらえなくなる。だから創り手は、規模やスケールに関わらず面白いエンタテインメントがあるという事をちゃんと伝えていかなければいけないとは思いますね」
――『同窓会』をこれから観る人に、ひとことお願いします。
サタケ「劇場公開時は知らなかったという人もいるかもしれませんけど、意外と面白かったと言って貰えると思います(笑)。この作品はラストに仕掛けがあって、そこに目が向かう人もいると思うんですが、それがわかったからダメという作品ではないですし、仕掛けをバレないように話を進めていくという手法で作ってないですから、素直に見て欲しいですね。主人公たちの、若い頃のディテールだとか、人の気持ちが時間と共にどう変わっていくかとか、そういう部分を楽しんで欲しいですね」