SIMカードだけで契約は可能なの?

販売される端末にはSIMロックが掛かっているとはいえ、本来SIMカードは端末と切り離されている存在。SIMカード単独での契約も理論上は可能なはずである。そこで、記事執筆時(2008年12月27日)のSIMカードのみの新規契約の可否をまとめてみた。

NTTドコモ(FOMA) au(WIN) ソフトバンク(3G) イー・モバイル
SIMのみの契約 可能 可能(※1) 可能 不可能(※2)
料金プランの制限 「ベーシックコース」(相当)のみ 「フルサポートコース」(相当)のみ 特になし
事務手数料(税込み) 3,150円 2,835円 2,835円
※1 au ICカード対応機種を持ち込みした場合のみ可能。ロック解除料金込み
※2 必ず端末とセットで購入する必要あり

このようになっている。ドコモとソフトバンクでは、それぞれキャリアショップでSIMカードだけの新規契約が可能。カード発行の際に必要な新規契約事務手数料は、後日請求される。auでは、利用するau ICカードに対応した端末をauショップまたはPiPitに持ち込んだ上で新規契約をする必要がある。ドコモ、ソフトバンクと同じく、新規契約時の事務手数料は後日請求される。ただし、端末のロック解除手数料は免除(新規事務手数料に内包)される。イー・モバイルだけは、SIMカードだけでの新規契約を受け付けていない。イー・モバイルのFAQサイトにもその旨の記述がある。

料金プランについては、ソフトバンクは新規契約時に選べるプランは全て選ぶことができる。ただし、iPhone 3Gで利用する「USIMカード A」の発行を受ける場合は、iPhone専用の料金プランしか選べない。また、利用するiPhone 3GのIMEI(製造番号)を控える必要があるため、iPhoneの本体を持って行く必要がある。

また、ドコモとauに関しては、基本料金がより割安な「バリュープラン」や「シンプルプラン」を選択することができない。旧来の料金プランを選択する必要がある。

SIMカード活用法をモデルケースで紹介

契約時の手間や料金プランの制約などがあるため、SIMカードだけで契約するメリットは、日本の携帯電話だとあまり良く見えてこない。しかし、上述したようにTPOに応じて電話番号を変えずに端末だけ変えるといった使い方など、有効に活用することができる。ここで、SIMカードの具体的な活用法をいくつか紹介しよう。

例えば、ドコモの場合であれば、「定額データプラン HIGH-SPEED」をFOMAカードのみで契約するのはどうだろうか。このプランは、通常はデータ通信カードに向けの料金プランであるが、実はFOMA HIGH-SPEED(HSDPA)に対応した音声端末でも利用することができる。このプランをFOMAカードだけで契約して、音声端末とパソコンを接続するときに入れ替えて使う、といった使い方もできる。BluetoothのDUN(ダイヤルアップネットワーク)に対応した端末であれば、ワイヤレスで定額通信が可能だ。もちろん、機種変更などで余ったFOMA HIGH-SPEED端末に挿しっぱなしにして完全にモデム代わりに使うのも良いだろう。

また、キャリアが販売していない魅力的な端末を使うためにSIMを活用する手もある。たとえば、「HTC P3600」など、W-CDMA方式のSIMフリー端末であれば、ドコモのFOMAカードやソフトバンクのUSIMカードを挿して使うということもできる。また、ソフトバンクのUSIMカードはホワイトプランで契約してソフトバンク同士の通話に使い、定額時間・対象外の通話には好みのプランで契約したFOMAカードを入れて使うといったことも可能だ。

ここまで、携帯電話においてSIMカードが果たす役割や歴史、キャリアごとの特徴や活用法を説明してきたが、こうして見ると、普段は目に触れないところにあるSIMカードも大変おもしろい存在であることが分かるだろう。ぜひ、本記事を参考にして、SIMカードを活用してもらいたい。