W-CDMA方式の導入においてドコモは、PDC方式が日本独自規格で終わり、世界で普及しなかった点を反省し、海外で普及していたGSM方式を土台に開発を進めた。携帯電話の契約情報は、GSM方式のSIMカードに対して上位互換性を持ったUIMカードに記録することになった。FOMAでは、そのUIMカードは「FOMAカード」と呼ばれ、日本で初めて携帯電話端末と契約情報が別個のものとなった。

FOMAカードは、大きく分けると3種類あり、初代が青色、2代目が緑、3代目が白になっている。緑のFOMAカードでは、カードに保存できる電話帳の容量が拡大されたほか、国際ローミングサービス(WORLD WING)にも対応した。また、FOMAカードを使った電子証明サービス(FirstPass)も利用可能となった。

現行の白いFOMAカードは、通常使用上は緑のFOMAカードと変わりないが、OTA(On-The-Air)という端末でカード上の契約情報などを更新する機能に対応している。細かい仕様は以下の表の通りだ。なお青いFOMAカードでは、緑のFOMAカード以降に追加されたサービスが利用できないため、ドコモショップなどで白いFOMAカードと無償交換できる。

日本におけるSIMカードの先駆けとなったドコモの「FOMAカード」(UIM)。写真の白いタイプは第3世代のFOMAカードとなる

第1世代(青色) 第2世代(緑色) 第3世代(白色)
電話帳の電話番号桁数 20桁 26桁
FirstPass(電子証明) 利用不可 利用可能
サービスダイヤル 利用不可 利用可能
端末によるカード情報書換(OTA) 不可 可能

W-CDMA方式が国際規格として確定した後に、同方式で「Vodafone 3G」(現在のSoftBank 3G)サービスを開始したボーダフォン(現在のソフトバンクモバイル)も、「USIMカード」に契約情報を記録するようになり、携帯電話端末と契約情報が分離された。現在では、一般契約用の「USIMカード」とiPhone 3G契約者専用の「USIMカード A」の2種類構成になっている。

iPhone専用のUSIMカード Aは、他のソフトバンクの端末で利用することができない仕様になっており、一般契約用のUSIMカードもiPhone 3Gでは利用できない。