Mozillaの研究開発組織といえるMozilla Labsでは、将来のFirefoxやFennecを特徴づけるであろう野心的な取り組みが進められている。いくつものプロジェクトがあるが、今後機能の取り込みがある程度想定されている重要度の高いプロジェクトは次の3つか4つということになる。

プロジェクト名 説明
Weave ブックマークやパスワードなどさまざまな情報を暗号化してサーバに保持し、どこからでも同じ情報が活用できるようにする
Ubiquity 自然言語処理によるFirefoxの操作を実現。エクステンションよりもさらに幅広いコマンド開発を狙う
Geode 地理情報をFirefoxで活用できるようにするプロジェクト。モバイルにおける活用の幅を広げることを目指す
Prism Webアプリケーションとデスクトップアプリケーションの垣根をとり払う

これ以外にも野心的な取り組みが行われているMozilla Labsだが、実には構成員は8名しか存在せず、いわば少数精鋭の研究開発部隊となっている。GoogleやMicrosoft、Appleのように数百万ドルを費やして優秀な人材を多数雇用し、強力に開発を進めるアプローチと、Mozillaのアプローチは異なっている。そもそもMozilla Foundationは非営利団体であり、営利目的の大企業と似たような取り組みはできない。従業員の数は少ないが、オープンソースソフトウェア(以下、OSS)としてコミュニティに開放することで世界規模で優秀な開発を実現する。それがMozilla Foundationのやり方であり、Mozilla Labsもそうした組織だ。

そんなMozilla Labsの取り組みの中でもとくに野心的なプロジェクトとなっているのがUbiquityで、Firefox上から呼び出せるコマンドラインツールといえる存在だ。ただ野心的、実験的であるだけに、Ubiquityおよびその開発には疑問点も少なくない。今回、その主要開発者Aza Raskin氏にインタビューする機会を得たので、伺った内容をまとめて報告したい。

Mozilla LabsのUbiquity主要開発者Aza Raskin氏

Ubiquityの担当は3名、コアチームは8名

Mozilla LabsでUbiquityを担当しているのは、Aza Raskin氏を含めて3人だ。ただし、WeaveやFirefox Mobileデザインも担当したりと全員が専任というわけではない。ちなみにUbiquityが最初にリリースされたときのコアメンバーは5人で、Mozilla Labs以外の2名は学生だった。ブログやエクステンションコンペを通じて親しくなった学生2名が初期リリース時にすでに参加しており、現在ではさらに3人加わって8人が開発コアとして作業をしている。

兼任で作業が進められているため、Ubiquityにかける労力は週によってまちまちということだ。たとえば、Firefox Mobileデザインの作業をしているときはほとんどUbiquityの作業はできないし、その一方で1週間通してUbiquityの開発が行われることもある。

一見すると開発人数が少ない気がするが、Mozilla Labsの人数を大規模に増やすことは考えていないようだ。Aza Raskin氏としては自然言語の専門家がいれば仲間に加えたいと考えているという。Mozillaとしてはユーザーに対してインスピレーションを与え、世界中のコミュニティでイノベーションを起こしていくことに主眼を置いているため、闇雲に従業員の人数を増やす必要性はないというわけだ。