東京ビックサイト(東京・有明)で開催中の「エコプロダクツ2008」でセイコーエプソンは、事務機・金融ゾーンにブースを展開。10月に発売したばかりの家庭用小型インクジェットプリンタ「カラリオ」や、同社独自のピエゾインクジェットプリント技術などを展示している。

2050年にCO2排出を1/10にする「環境ビジョン2050」

エプソンは2050年に商品とサービスのライフサイクルにわたるCO2排出を10分の1にすることを目指す「環境ビジョン2050」を掲げている。これは、地球のCO2吸収許容量とされる約110億トンに、世界人口に占める日本の人口の割合1%(2050年時点予測)をかけた1.1億トンを指標とする目標値。現在日本が排出するCO2約13億トンを、約1/10にする必要があるという考え方だ。

製品を小型・軽量・省エネ化、リサイクル性も高める

ブース中央には、カラリオEP - 801Aの環境性能を解説する部品やパネルを設置。EP - 801A は、2003年のPM - A850と比較して製品容積が約50%、使用時の消費電力が約57%、素材製造から廃棄・リサイクルにわたるCO2排出が約17%削減されている。これは、LED光源によるスキャナ・液晶パネルや高効率電源といった部品、背圧制御ユニット一体型の小型ヘッドの採用などによるもの。LED光源は廃棄に特殊な処理を要する水銀を含まないため、有害物質の排除にも寄与している。また、特長的なのが非塗装でも外観を損なわない光沢成形技術でつくられたパーツ。塗装しないことで製造時の環境負荷を低減したほか、リサイクル性も向上させているという。

5年前(左・PM - A850)の約半分の大きさになったEP - 801A(右)

パーツを非塗装で仕上げることで省エネ・省資源・リサイクル性の向上を実現

プリンタ内部には一部再生プラスチックが使用されている

ピエゾインクジェット技術でデバイスの製造工程を変える

すでにシャープの液晶パネル製造に採用されているマイクロピエゾテクノロジーは、電気を通すと伸び縮みするピエゾ素子を利用してインクを吐出させる同社独自のインクジェット技術。他社のバブルジェット方式(インクの沸騰圧で吐出)とは異なり熱による変質が起こらないため、金属や生体などさまざまな物質に応用できるという。ブースには、この技術によって電子デバイスの製造工程を簡略化する例として、液晶パネルのカラーフィルターや電子基板が展示されていた。

マイクロピエゾテクノロジーで銀をプリントし、基板を製造。従来の製法では、銅をパネル全面に塗布して不要な部分を薬品で洗い流すが、その工程を省き廃液の排出も削減できる。年内にも、基板メーカーであるKOA株式会社がこの製法を採用した商品の営業を開始するとのことだ

基板と同様に、従来の製法では赤、緑、青をガラス全面に塗布し、不要な部分を流すという加工を3回繰り返してカラーフィルタができあがる。これに対してマイクロピエゾテクノロジーを応用した製法では、その精密性によって3色を一度に塗布することが可能。作業場を真空状態を維持する必要がなくなり、工場の省エネにも貢献するという

カートリッジのリサイクルやプロジェクターの省エネも

ブースにはこのほかにも、インクカートリッジのリサイクルシステムを説明するパネルなど、全般的に省エネ性を高めたプロダクツが展示されている。また、ブースをまわってクイズに答えるエコロジークイズラリーや、クイズラリー参加者から2050年の地球へのメッセージを集めて展示する企画が用意され、学習に訪れた小中学生の人気を集めていた。

光の利用効率を約20%向上させたE - TORL(多重反射式高効率ランプ)搭載の3LCDプロジェクターオフィリオEB-1735Wなど。明るさ100lmあたりの消費電力はELP - 3000(1995年モデル)の10分の1になっている

手書き合成シートにかかれたメッセージを写真と合成してプリント

トナーカートリッジを学校で集めて送ると、ベルマークと交換できる「インクカートリッジベルマーク運動」