平均年齢64歳にして、いまなお現役、かつ世界を代表するロックバンド、ローリング・ストーンズ。06年11月、ニューヨークのビーコン・シアターでおこなわれたコンサートが、マーティン・スコセッシ監督によって一本の映画となった。タイトルは『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』。

スクリーンに映し出される4人の顔には深い皺が刻み込まれているものの、そのパフォーマンスは年齢を感じさせないほどの若さとパワーに溢れている。1964年にアルバム『The Rolling Stones』でデビュー以来、数々のスキャンダルや悲劇を乗り越えてきた彼らは、いかにして唯一無二のバンドとなったのか? 過去に残してきた数々の"伝説"とともに、ストーンズの歴史を振り返ってみよう。

写真左から、チャーリー・ワッツ(ドラム)、キース・リチャーズ(ギター)、マーティン・スコセッシ監督、ミック・ジャガー(ボーカル)、ロニー・ウッド(ギター)

Legend#1 ミック・ジャガーは経済に詳しい優等生

ストーンズのフロントマンであるミック・ジャガーは、バンドが持つ不良イメージとは裏腹に、グラマー・スクール時代は成績がトップクラスに入る優等生。その後、ロンドンの大学に進学し、経済学を学んでいた。

「ロックのやんちゃなプリンスという彼のイメージの下には、真面目に経済を勉強した人物の一面があった。数学に関してミックは実に几帳面だった」とは、あるレコード会社の幹部。ミックとランチした時、印税とレコード売り上げについて計算した彼は、わずか2分で正確な数字を弾き出したという。

Legend#2 キース・リチャーズは泣き虫のボーイソプラノ

ビジネスマンの一面も持つミックとは対照的に、「ロック=不良」を地で行くのがギターのキース・リチャーズ。だが幼い頃の彼は、先生にエクササイズ・ブックを見せに行くことすらできないほど引っ込み思案で、「泣き虫」というあだ名がついていた。

そんなキースが最初に音楽の才能を発揮したのは、意外にもギターではなく、聖歌隊のメンバーとしてだった。1953年におこなわれたエリザベス女王の戴冠式ではボーイ・ソプラノを披露し、テレビでも放映された。

ゆえにストーンズ結成当初、コーラスに甘んじた自分に葛藤を覚えたこともあったという。だがそれも過去の話。『シャイン・ア・ライト』では、キースがギターも持たずにメインボーカルを務める場面も。

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