太陽光発電システムが一般に浸透したのはここ10年のこと。それだけに、どうやって導入すればよいのか、またどこで購入できるものなのかなどがよく知られていない。情報不足を突いて悪質な販売業者も横行しているという。そこで後編では、そういう業者に引っかからず、適正価格で間違いのない施工を行ってもらうための基礎知識と心がまえを、業界通の菱田剛志氏に聞いた。

まずは購入方法について。家電なら量販店やいわゆる”地元の電気屋さん”に行けば手に入るが、はたして太陽光発電システムは、どのような会社が販売しているのだろうか。

これについて菱田氏は、「コンセントに差し込めば動く家電とは違い、太陽光発電システムの販売・施工は一般の電気店がすぐにできるものではないので、専門化された販売会社によって行われています。多くはシャープや京セラ、三洋電機など太陽光発電システムの機器メーカーの特約店です。」という。特約店とは、メーカーの研修を一定期間受けて、ノウハウをマスターした会社。メーカーがわざわざそうした手法をとるのは、きちんと自社の施行基準を守って工事をしてほしいからで、その背景には各社とも製品はもちろんのこと雨漏りなどの施工部分についても10年という長期保証を行っていることがあるのだという。

こうして一定の研修を受けた会社が販売・施工を行っている限り問題は少ないのだが、菱田氏によれば「特約店の存在を知らない消費者に適正価格より100万円も多くふっかけるような業者もいる」とのこと。「大体はオーバートークで、実際見込まれる発電量の倍ぐらいにいいます。短期間で元がとれますよというわけです。そういう業者は、配置などの設計図面や見積もりを出さないケースが多く、180回払いのローンの用紙だけで契約を迫という話もよく聞きます。」

訪問販売業者がすべて悪質というわけではないが、太陽光発電システムを勧める業者がいきなり訪問してきても、すぐには契約しないのが最善の防御策といえるだろう。「今日だけの価格です!」とか、「モニターで最後の1件の枠がありますのですぐにご契約を!」などの謳い文句ほど怪しいものはないとのことだ。

では、特約店やきちんと設計図面や見積もりを出してくれる会社をどうやって見つければいいのか。次ページでは、ベストな業者との出会い方を紹介する。

菱田剛志氏プロフィール
大学卒業後、約17年間一部上場の建設会社に勤務。2002年、電気工事会社にて太陽光発電システム事業の立ち上げを責任者として主導。100件以上の販売・施工に携わった後、2004年、消費者と販売・施工会社との橋渡しを行うウェブサイト「見積工場」の運営責任者に就任し、現在に至る。各太陽電池メーカーの販売責任者や全国の販売会社、全国の設置者・導入検討者との交流を通じ、幅広く太陽光発電システムやオール電化の最前線事情を知る。