サンフランシスコで開催されたJavaOne 2008が終わってから半年、この間、Sun Microsystemsから聞こえてくるニュースは、正直、さびしいものが多かった。「Don't be shy!」の名セリフでJavaOneを盛り上げてきたJohn Gage氏が同社を去り、そしてJavaをはじめとする同社のソフトウェアビジネスを統括していたRich Green氏までもが同社を後にした。金融機関に多くの大口顧客をもつSunは、世界的金融不況の影響をもろに受け、全世界規模での人員削減を発表している。決算の数字も正直、痛々しい。

そんな厳しい状況にある中、12月2日 - 3日、東京・六本木ミッドタウンにて開催されたユーザカンファレンス「Sun Tech Days 2008 in Tokyo」(主催: サン・マイクロシステムズ)では、"Javaの父"としてその名をはせるJames Gosling氏が来日、報道関係者によるラウンドテーブル形式のインタビューが2日に行われた。来るべきJava 7、JVMと動的言語の関係、まもなくリリースされるJavaFX、さらにはSunとJavaをめぐる状況について、驚くほど率直に本音を語ってくれた。

Sun Microsystems, Vice President and Sun Fellow…というよりも、"Javaの父"として名高いJames Gosling氏

--SDKの次期バージョンであるJava 7ですが、クロージャの採用が有力視されているようですね。現在の開発状況について教えてもらえますか。

Java 7において、クロージャは有力な新機能候補のひとつではあるが、まだ正式に決定したわけではない。私自身は、クロージャを採用すべきだと思っているが。

クロージャの導入はコミュニティの中でも最もホットなトピックで、つねに議論がなされてきた。アプリケーションがシンプルになり、開発が簡単になるというのが、私も含めたクロージャ賛成派の考えだが、反対派は言語をいじるという行為自体に疑問を感じているようだ。これ以上、Javaを複雑にする必要があるのか、と。

リリース時期については、私の勝手な憶測だが、(クロージャ問題も含めて)スペックが確定するのにあと6カ月、だから正式リリースは早くとも1年半後、ということになるね。

Java 7は、これまでのSDKに比べてもゆっくりとした開発ペースであることは確かだ。理由は簡単で、新しいバージョンに対応できるユーザがあまりにも少ないから。現在の6系にしたところで、最新バージョンを使っているユーザがどれだけいるだろうか。いまだに4系ユーザがごろごろしている。彼らをアップデートさせるのはひと苦労だよ。

--最新バージョンのJavaを使わないユーザが多い理由は?

非常に悲劇的ではあるが、残念ながら原因はテクニカルなことではない。結局、金の問題に行き着く。たとえばJava 4に対応したWebSphereを購入し、使用している企業があるとする。Javaのバージョンアップに合わせて、WebSphereもアップデートしたいところだが、そのためにはIBMに別に料金を支払わなくてはならない。もうすでに多額の管理費を払っているにもかかわらずだ。そんなカネは払いたくない、というわけで古いバージョンのまま使い続ける羽目になる。WebSphereに限らず、どのJava製品でも同じことが起きていることだがね。