【レポート】

Nokiaには「iPhone」のようなヒットを出す力はない!? - ETRE 08

スウェーデン・ストックホルムで10月14日から3日間開かれた技術と投資のカンファレンス「ETRE 08」で2日目の15日、フィンランドNokiaの端末部門上級副社長Antti Vasara氏が基調講演のステージに登場した。

Vasara氏は主催の米Red Herringの会長、Alex Vieux氏との対談形式で、イノベーション、企業変革、国際ブランドなどについて語った。

Apple賛辞するも、「タッチはUIのすべてではない」

Antti Vasara氏

ゼロからモバイルに参入した米Appleが、「iPhone」で"ソリューション"を提示し、消費者を魅了している。携帯電話の王者、Nokiaはこの魔法を実現できるのか - Vieux氏の最初の質問だ。

これに対し、Vasara氏は、特定のユーザーセグメントにアプローチするAppleと自社を比較し、「Nokiaは、消費者を魅了するような魔法をあらゆるセグメントで提供しようとしている」と述べる。「だが、すべての市場で魔法を提供することはできない」とも言う。

Vasara氏は、「Appleはすばらしい端末を作成し、成功を収めた」「Appleのマインドシェアを取り返したい」とAppleの成功を認めながらも、「Nokiaは、ニュースの見出しは飾っていないが、新興市場など一部ですばらしい製品を提供している」と主張する。その例が、インドで提供しているエントリ機種でのフラッシュライト機能だ。ユーザーのニーズを受けてフラッシュライトをつけてみたところ、大ヒットした。「小さな工夫がユーザーをあっといわせる」とVasara氏。「われわれは北米・欧州だけにフォーカスしているのではない。グローバル企業だ」と違いを強調する。成長市場の中国におけるNokiaのシェアは、お膝元の欧州を上回るレベルだ。

Vieux氏は次に、カナダResearch In Motion(RIM)の最新のBlackBerry「Storm」を持ち出す。RIM初のタッチ画面で、ビジネスセグメントで不動の地位を築きつつあるRIMからの、iPhoneへの回答となる。

「消費者のエクスペリエンスはタッチだけではない。全体としてのエクスペリエンスをコーディネートすることが大切」とVasara氏。タッチ画面は新しいものではなく、以前からある。大切なことは、顧客のニーズを理解すること。「ユーザーが求める機能は音楽なのか、電子メール端末なのか、ブラウジングに使っているのか? タッチはいち技術だが、キー操作に慣れたユーザーもたくさんいる。Nokiaでは、消費者のニーズにあわせるため、新しい技術をすべて試している」とVasara氏は言う。

Nokiaが最も強みとする広範なポートフォリオから1台選ぶとすれば、「Nokia E71」とVasara氏は言う。米国では提供されていない機種だが、米国のブロガーに人気で欧州から取り寄せるブロガーも多いという。「NokiaはiPhone対抗として位置づけていなかったが、iPhoneから乗り換えるユーザーも多いと聞いている」とVasara氏。

Nokiaに"魔法"は起こせるか - 組織の大きさに負けないイノベーションを

Vieux氏は次に組織について聞く。Nokiaが"魔法"を実現できないのは、規模が大きくなりすぎたためではないか? 1つの圧倒的なビジョンを作り、それを実現するために作業することができないのでは?

Vasara氏は、「規模は大きなメリットだが、確かに規模の犠牲になっているものもある」と認めつつ、ハイエンドからローエンドまであらゆるセグメントで最高の端末を提供するためにどうすればよいのかを社内で常に議論していると続けた。

iPhoneは、数年前の米Motorolaの大ヒット作「Razr」と同様に一過性のブームと見ている大御所Nokiaの強みは、長期的ビジョンだ。

「インターネットとモビリティの融合、それにコンテキスト対応が加わる。コンシューマエクスペリエンスのフォーカスとともに、この3つを合わせることが重要と考えている」とVasara氏。「我々は、ポケットに入る端末こそ、消費者がインターネットにアクセスするツールだと信じている」という。

携帯電話は外観も重要で、テーブルの上において自己表現したいと思わせるような端末の開発も重要な戦略だ。「新しいノートPCを見せびらかしたいとは思わないが、携帯電話は見せびらかしたいと思う端末だ」(Vasara氏)。そして、「携帯電話はこれまで、単なるSMSと音声通話からカメラ、音楽、Wi-Fiと発展してきた。モバイル端末こそ、インターネットを変える」と続ける。Nokiaは、ソフトウェア/サービス事業を強化しているが、大きな変化が起こっていると感じてのことだ。

Nokiaの最近の動きとしては、英Symbian買収によるSymbian Foundation設立の発表がある。これについてVasara氏は、「Nokiaの狙いは、端末とソフトウェア/サービスでエコシステムを構築すること。Nokiaがすべてのイノベーションを起こせるとは思っていない。他の企業はこれをベースに別のエクスペリエンスを加えることができる」と説明する。

右肩上がりで成長してきた携帯電話だが、世界的に普及しつつあり、平均単価が下がった。成長国では買い替え需要も下がりつつある。いまだ活気ある分野ではあるが、必ずしも追い風ばかりではない。Vasara氏は、これに対応するには「継続的なイノベーションにより、消費者に購入したいと思わせる端末を提供すること」と述べる。将来、ユーザーは複数の端末を使い分けると見ている、ともいう。

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