企業がWindows Vistaの導入を躊躇しているという話をよく聞く。現在利用しているアプリケーションの互換性が大きな理由の1つだが、そんな中、デルはWindows Vistaへの乗り換えをサポートする「Window Vista Migrationソリューション」の提供を開始した。そこで、アプリの互換性では具体的に何が問題になるのか、乗り換えにあたっては何に注意すべきなのか、どういう方法があるのかなどについてデルの担当の方に聞いてみた。

企業はWindows Vistaへの乗り換えを早急に検討すべき

デル ソリューション・サービス本部インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス コンサルティング第2部 テクニカルコンサルタント マイクロソフト認定コンサルタント 金野勉氏

Windows Vistaが発売されてもうすぐ2年を迎えるが、企業での導入が進んでいないという話が多く聞かれる。Windows XPからは見た目も機能も大きく変わっているだけに、乗換えの決心がつかないことも無理がないともいえるが、実はあまり迷っている余裕はない、とデル ソリューション・サービス本部 インフラストラクチャ・コンサルティング・サービス コンサルティング第2部のテクニカルコンサルタントである金野勉氏はいう。

「Window XPの販売は2008年6月で終了しました。Windows Vista(BusinessまたはUltimate)を購入してダウングレード権を行使することでWindows XPを引き続き使用する、という選択肢もありますが、各OEMメーカーがWindows XPのメディアを提供できるのは2009年7月までといわれています。企業は既に本格的なWindows Vistaへの乗り換えを検討する時期にあると私たちは考えています」

仮にWindows XPへのダウングレード権を行使する場合、OEMメーカーによってはダウングレードするにあたって別途費用がかかることもある。また、今後Windows XPへのダウングレードが可能なPC機種も限られてくるだろう。

「それでもWindows XP環境を継続利用し、次期OSの「Windows 7」で一気に乗り換える、という選択肢もあります。しかしこれも、私たちは決して良い方法ではないと考えています」と金野氏は指摘する。この方法が得策でない大きな理由として金野氏が挙げているのが、Windows Vistaへの乗り換えが完了する前にWindows XPのサポートが終了してしまうリスクである。Windows XPの延長サポートは2014年で終了するが、Windows 7のリリースは2010年初頭を予定されている。企業はこの4年の間にWindows 7とアプリケーションの動作テストを実施し、プロジェクトを立ち上げ、すべてのWindows XPクライアントをWindows 7に移行する必要がある。この期間を長いと感じるか短いと感じるかは企業によって差があると思うが、Windows 7のリリースが遅れる可能性も十分考えられるので、場合によってはWindows 7への移行が完了する前にWindows XPのサポートが終了してしまう可能性があるというわけだ。

さらに、Windows 7になったからといって、Windows XPの仕様に戻されるわけではない。確かにUACなどの一部ユーザーに不評だった機能はWindows 7で改善されるようだが、Windows 7のアーキテクチャはWindows Vistaと同じなので、新しいユーザーインタフェースに馴染めない、使い慣れたアプリケーションが対応できるかどうかわからない、という課題はWindows 7まで待ったとしても同じなのだ。 「狭い選択肢を模索してWindows XPにこだわるよりも、早い段階からWindows Vistaへの乗り換えを前向きに検討するほうが懸命ではないでしょうか。みなさん、難しく考えていらっしゃるようですが、使い慣れたアプリケーションをWindows Vistaで使う方法も、エラーを回避する方法もきちんとあります」と金野氏は語る。そうした考えから、デルではWindows Vistaへのマイグレーションソリューションを提供する。