αシリーズ初の上面液晶

α900のデザインはα700に似ているものの、大きさは約156.3(W)×116.9(H)×81.9(D)mmと、α700(約141.7×104.8×79.7mm)に比べて幅で約14mm、高さで約12mm、奥行きでは2mmと全体的にひとまわり大きくなった。重さも本体のみで約850gと、α700の690gよりやや重くなっているが、マグネシウム合金製ボディと、グリップ部がしっかりしていることもあいまって、片手でグリップを持ったまま歩いても不安感はまったくない。ただし、しっかりした半面、グリップがやや大きいため、手の小さな女性などは持ちづらく感じるかもしれない。

前面のスイッチ類や背面のボタンもレイアウトもα700とほぼ同じだが、外観はα900が35mmフルサイズに対応したペンタプリズムを内蔵したことで、ペンタ部は大きくなっている。また、α900はデジタル世代のαシリーズとしては初めて上面に液晶パネルを備えた。ただし一度に表示できる情報量は少なく、上面液晶はあくまでサブといった印象だ。表示できる内容は、バッテリー残量と、撮影可能枚数と、通常はシャッター速度と絞り値で、モードを切り替えることで露出補正値やホワイトバランス、ISO感度、ドライブモードが表示できる。大型の背面液晶を備えているデジタル一眼レフなら、撮影情報も多い上にファインダーからの視線移動量も少なく見やすいため、上面液晶はむしろなくしてもいいのではないかとも思える。

上面に液晶パネルが置かれた関係か、連写モードに切り替える「DRIVE」ボタンは、露出補正ボタンの横に移設された。露出補正ボタンはα700の時からそうだが、グリップを握ったまま人差し指を移動しようとすると、人差し指と中指が開いてしまう。そのせいか、露出補正はボタンを押しながら操作する方式ではなく、ボタンを押して露出補正モードに入り、ボタンを離してから前ダイヤルか後ダイヤル、マルチセレクター(十字キー)で補正値を設定するという方式になっている。ボディ右側正面のボタンはグリップを握ったままだとどれも押しづらく感じる。今後改善を望みたい点だ。

フォーカスモード切り替えスイッチは、α700と同じくボディマウント根元にあり、指でつまんで操作する必要がある。ボディサイズが大きくなった関係もあり、奥まったところにスイッチがあるため、誤操作はしにくい反面、操作しづらいのが難点だ。

主な背面の操作系。背面のボタン類はα700と同じ。αユーザーなら戸惑わずに使えるだろう

主な上面の操作系。初めて液晶が追加されたが、情報量は少ない。省略してもよいかもしれない

カメラはやや重いがホールド性はよく、剛性感も高い。持っていて不安感がないカメラだ

シャッターボタンは重めで、AF中に間違ってシャッターを切ってしまうようなことはない

露出補正ボタンとダイヤルの同時操作はやりにくい

メニューは上部にタブがある方式。カテゴリ分けは比較的わかりやすい

露出補正ボタンを一度押すと、液晶画面の表示も露出補正モードに替わり、あとはダイヤルで操作する

フォーカスモード切り替えスイッチは指でつまむ必要がある

独特な形状の縦位置グリップ

シャッター音は、金属感のない軽い音だが、音量は大きく感じる。ミラーショックは大きめ。マウントはαマウントで、APS-Cサイズ専用のDTレンズを装着すると、自動的に中央部のみが出力されるAPS-Cサイズモードに切り替わる。ファインダー内には、APS-Cサイズの画角の枠も設けられているが、周辺がケラれて暗い状態となる。DTレンズが使用できることで、デジタル専用レンズしか持っていないユーザーでも移行しやすいのはうれしい配慮だ。

ボディは縦位置グリップのないタイプだが、オプションで本体添付バッテリーが2個入る縦位置グリップ「VG-C90AM」も用意される。VG-C90AMは、マグネシウム合金製で、前後ダイヤルはもちろん十字キーまで備える。その代わり価格は約4万円と、縦位置グリップにしては高価だ。ただし、よく見る縦位置グリップとはデザインがちょっと異なっている。最初は違和感があったのだが、実際にグリップを持ってみると、縦位置で持ったときにも手とファインダーの位置関係が横位置の時と同じで違和感がない。

今回は「Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM」を使用したが、2460万という画素を短時間で処理するためか、フル充電で撮り始めても、300枚も撮らないうちにバッテリー残量が40%を切ることがあった。丸1日撮影に出かけるような場合には、縦位置グリップを使用するか、必ずスペアバッテリを持って出かけるようにしたほうがよさそうだ。

DTレンズ装着時のファインダー内

DTレンズ装着時は自動的にAPS-Cエリア内のみが撮影される

オプションの縦位置グリップ「VG-C90AM」。スペアバッテリか縦位置グリップは欲しいところだ

3型92万画素液晶もα700から継承

背面液晶のサイズは今や標準ともいえる3型で、画素数は92万画素とα700と同じ高解像度タイプが採用されている。そのため画像も非常に高精細で確認もしやすく、晴れた屋外でも非常に見やすく感じた。また、α350では可動タイプの液晶が採用されていたが、α900では固定式になっている。αシリーズ共通の機能として、アイセンサーを備え、ファインダーを覗くと背面液晶が消える機能も持つ。

背面の液晶モニター右下には、撮影時の各種パラメーターを変更する「Fn」ボタンと、カスタム「C」ボタンを備えている。「C」ボタンには標準ではカラーモードやコントラストなどを変更する「クリエイティブスタイル」機能が割り当てられている。従来どおり、撮影時のほとんどの機能は、Fnキーを押してから十字キーで項目を選んで変更できるため、メニューを開く機会は少ないだろう。メニューは、画面上段にグループがあり、下に各項目が並ぶ。後ダイヤルか十字キーの左右でグループを選んで、前ダイヤルか十字キーの上下で項目を選択する。これもα700から継承されている。

撮影情報を表示する液晶モニター。情報量は多いがとてもわかりやすい

情報量を減らして文字を大きくすることもできる

撮影モードダイヤルに備えた1~3には、あらかじめ設定した撮影モードを記録できる。使用時は画面が変わるので記録したモードを使用しているとわかりやすい

通常の再生画面。再生画面自体は非常にきれいだ

「C」ボタンを押すと、ヒストグラムやクリエイティブスタイルも表示できる

再生履歴を表示するサムネイル表示モード。画像を探す時にも便利

もちろんサムネイル表示にも対応する

αシリーズで便利なのが、AFポイントが一気に拡大表示するモード。他社も見習って欲しい機能のひとつだ