現在、チバテレビほかで放送中のTVアニメ『カオス;ヘッド』。そのヒロイン・咲畑梨深を演じている喜多村英梨に単独インタビューを敢行した。2008年、秋のアニメ新番組でも引っ張りだこの彼女。男女問わずキャラクターを演じられる若手実力派声優のひとりだが、意外にも梨深というキャラクターを演じるのは難しいらしい!?

喜多村英梨(きたむら えり)。カレイドスコープ所属。代表作に『BLOOD+』の音無小夜、『こどものじかん』の九重りん、『こはるびより』のゆい、『ぽてまよ』の森山素直ほか、多数のキャラクターを演じている

『カオス;ヘッド』では、ダメ人間な主人公・西條拓巳に対して気さくな態度で接する謎の少女・咲畑梨深を演じる

――『カオス;ヘッド』の咲畑梨深は、謎の多いヒロインですね

喜多村「この作品がいろいろなメディアで取り上げられ始めたころは、よく『喜多村さんの役はどんな女の子なんですか?』と尋ねられたんですが、答えると核心に触れますので、当初はかなり悩んでコメントしていました」

――謎も含めて、梨深というキャラクターをつかんだと思ったのはいつごろでしょうか?

喜多村「今回のアニメ化の前にPCゲームでも梨深を演じていたんですが、PCゲームのアフレコの際は、自分の役の部分しか台本をいただけなかったので、人との絡みとかもありませんでしたし、全体の世界観とかはかなり把握しづらかったんです」

――ゲームのアフレコはアニメと違って、個々に収録というのが多いですからね

喜多村「そういった状況の中で一番印象に残ったのが、どうして梨深は笑うようになったのか? という疑問でした。主人公の前に突然現れた理由も気になりますけども、いつも笑顔を振りまいている。その理由もゲームならではの種明かしがあって、最後には把握できましたけれど」

――アニメではほかの声優との絡みが加わったわけですが

喜多村「アニメではほかの方々との絡みによるテンポ感が生まれて、人に対しての距離感だったりとか、梨深が見ている全体の映像ってこんなのなのかな? というフィーリングを自分なりに昇華していってシンクロしていこうと、第1話のアフレコに臨んだのを覚えています」

――喜多村さんは『こどものじかん』の九重りん役や、『ケメコデラックス!』の小林三平太役をはじめとして、男女・世代を問わず役を演じられる非常に器用な方ですよね

喜多村「いや~、『カオス;ヘッド』の収録では私が一番足を引っ張ってますね。みんな、早く帰れなくてごめんねって謝ってるくらい。ホント、毎週が恐怖です(笑)」

――それは意外ですね。梨深のような"女の子らしい"役はあまりなかったから?

喜多村「本当に私、女なんですけど、その手の引き出しがなくてツライです。ピンクの髪で元気で口癖のある梨深は、ヒロイン オブ ヒロインなわけですよ。それを自分が演じるとなると、憧れでもあるしすごくイメージが湧くんですけれど、自分の声帯であったりとか技術面で表現能力がなくて、いつも悔しい思いをしています。ですからアフレコ時は必死なんですよ(笑)」

――それでは喜多村さんにとってのTVアニメ『カオス;ヘッド』のアフレコ現場は、試練の場なんですね。

喜多村「各方面からものすごいプレッシャーがありますよ。女性キャラが多く登場する作品でもありますし、人気投票でNo.1になる! という野望もあるわけですよ(笑)。梨深はヒロインと言われていますけど、ある意味、登場する女の子は全員ヒロインというような作品でもあるので、その中でも少しでも多くの方たちに魅力を感じてもらえるお芝居を届けたいなと考えています」

――自分自身でかなりのプレッシャーをかけている?

喜多村「そりゃあもう、いつも自分をスパンキンですよ~(笑)」