「JAPAN国際コンテンツフェスティバル2008」(コ・フェスタ)のオリジナルイベント「劇的3時間SHOW-10人のコンテンツプロフェッショナルが語る-」に出演したFlashアニメクリエイター・FROGMAN。Flashを駆使して、監督から脚本、作画、BGM、アフレコまで、全ての制作作業をひとりでこなすという新しいアニメクリエイターの姿を提示して話題を集めた彼が、制作に賭ける想いや、今後の活動について語りつくした。

デジタルとは無縁の人間だった

FROGMAN
1971年、東京都出身。約10年間、映画やドラマの制作スタッフを務めたのち、仕事で訪れた島根県にて結婚、移住。Flashを駆使して、監督・脚本・作画・アフレコなどの制作作業をひとりでこなし、ユニークなアニメーションを発表し注目を集める。初作品であるWebアニメ『菅井君と家族石』(2004年)がヒットし、2006年に初めて地上波にて『THE FROGMAN SHOW』を公開。2007年には、劇場版『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE~総統は二度死ぬ~』が上映され、続けて2008年、第2弾となる劇場版『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II~私を愛した黒烏龍茶~』が公開された。最新作は『ピューと吹く!ジャガー ~いま、吹きにゆきます~』(2009年1月1日公開)

――FROGMANさんは、どのような経緯でFlashアニメを作ることになったのですか?

FROGMAN「僕は元々、全然デジタルとはほど遠い実写の撮影現場にいた人間なんです。ロケ弁当を発注したり、車を手配したり、ロケハンしたりとか……。30歳を過ぎて、一度実写の仕事を終えて、島根県に移住してからPCを使って、別の仕事をやり始めたんです」

――PCに関する知識はどの程度あったのですか?

FROGMAN「最初の頃の仕事のファイルがこないだ出てきたのですが、酷いものでした(笑)。何も知識のないバカたれが作ったファイルなんです(笑)。Illustratorというソフトの名前すら知らなかったですし、アドビという会社も知らない……。ですから、仕事のデータをWordで全部作って入稿していたんです。ある日、印刷会社の人に『悪いけど、Illustratorのデータで入稿してもらえますか』って言われて。そこで初めてIllustratorというものを知って(笑)。で、初めてDTPのイロハみたいなものをネットで検索して、自分で勉強してっていうところから始まってるんですよ」

――そこから、たったひとりでFlashアニメーションを作るようになるわけですね。ひとりでの制作体制にこだわりはあったりはするんですか?

FROGMAN「そもそも『ひとりでなにか映像を作ろう』と思ったときに着目したのがFlashアニメーションだったんです。Flashアニメーションをあえて大人数でやろうというのはあまり発想としてないんですよね。ただ僕はずっと実写の世界で、それこそスタッフ100人くらいのところに一緒になってやっていたので、人と何か物を作るていうことに関して、抵抗はないんです。例えば『実写やろう』となったら、当然自分の好きなスタッフやキャストを集めて自分のやりたいものをやりたいという構想はあります」

――アドビのFlashに最初出会った時というのは、やはり衝撃でしたか?

FROGMAN「Flashで制作された青池良輔さんの『CATMAN』(2002年)をネットで観たとき、まず"絵がキレイで、しかもアニメーションでこんな映画的な表現ができるんだ"と衝撃を受けました。"青池良輔っていうやつがひとりでこれを作ったなら、僕もなんかこれで出来るんじゃないかな"っていう風にすぐ想像しました。正直、青池さんのようになりたいと思ったんです」

――それまでは、実写の現場にいらっしゃったということですが、絵を描いた経験はあったのですか?

FROGMAN「いやぁ、ないですよ。こんな風に言ったら語弊があるかもしれないですけど、やっぱアニメっていうのは特殊なジャンルで、美少女がロボットに載って戦ったりだとかそういうもんだと思ってましたから、僕にはもう全然関係ない世界という風にしか思ってなかったんです。でも青池さんの作品を観て、こんな映画のような表現もできるし、『これって自分がやりたいことにちょっと近いんじゃないか?』と感じたんです。そのとき、初めて『アニメをやってみよう』と思ったんです」

――ツールとしてのFlashに関してなんですけど、バージョンや新機能には敏感だったりするんですか?

FROGMAN「いや、それはないです。あの、僕は本当に10年前のバージョンでも作れるような作品しか作ってないんです(笑)。当然、自分のなかではもっと最新のFlashの機能を使ってなにか作りたいとか、そういう欲望はあることはあるんです。ただ、それをやったところで、僕の作品にそれを求めてる人があまりいないんで(笑)。それよりもプロットの面白さだったりとか、一枚絵としての面白さだったりとかを要求されていると思っています」続きはこちら。