11月20 - 21日に開かれる「Xen Summit Tokyo 2008」(主催:Xenコミュニティ)に先立ち、19日に「Xen Conference Japan 2008」(主催:VA Linux)が開催。基調講演には、Xenプロジェクトの創始者でリーダーを務めるイアン・プラット氏(シトリックス・システムズCTO)が登壇し、オープンソースのハイパーバイザー「Xen」の動向やシトリックス・システムズから提供されている「XenServer」、「XenDesktop」の機能、特徴を概観した。

Xenプロジェクトリーダー 兼 シトリックス・システムズCTO イアン・プラット氏

プラット氏は、まず、Xenをめぐる近年の動向として、HPやデルがハードウェア上にXenを組込んだサーバの提供を開始していることや、サーバにとどまらずラップトップPCやストレージ、スマートフォン、アプライアンスといったプラットフォーム上でも展開が進んでいることを指摘。「世界20カ国250人以上の開発者による活発なコミュニティの活動を背景として、現在、仮想化環境において高いパフォーマンス、ハイアベーラビリティ、セキュリティなどを提供できる製品との評価を得ている」ことを紹介した。

パフォーマンスについては、インテルやAMDのチップセット(Intel AT / AMD-V)との連携性や、マイクロソフトの仮想化機能(Hyper-V)との互換性などを上げながら、パラバーチャリゼーション(疑似仮想化)というハードウェアとソフトウェアの両面で機能強化を施せるアーキテクチャが強みと主張。

例えば、XenServerで構築した仮想サーバ環境のパフォーマンス・テスト(XenAppによるオンデマンド・アクセス)では、他社製品と比較して同時接続ユーザが80人を超えたあたりから差が出はじめ、200人になると顕著な差となって現れるとの結果を紹介し、30 - 40%多いユーザー数をカバーできるとした。

ハードウェアとソフトウェアの両面から機能強化を施せるアーキテクチャが強みとする

仮想サーバ環境のパフォーマンス・テスト結果。同時接続ユーザーが増えてもパフォーマンスが落ちない(横軸:接続数、縦軸:テストスクリプトの実行時間)

また、ハイアベーラビリティについては、ホストレベルで自動化されたハイアベーラビリティを実現できるとし、その具体例として、XenServerを利用し、サーバやストレージのリソースプールを作成する例を示した。これは、複数の物理サーバ上に複数の仮想マシンを作成したうえで、物理サーバを超えて仮想マシンを管理するもので、新たな仮想マシンをリソースプールにドラッグ&ドロップで追加したり、ある仮想マシンや物理サーバに障害が発生した場合でも、瞬時に他の仮想マシンや物理サーバに環境を移行したりできるもの。

特に、リソースプールの構成を管理するサーバ自身を動的に変更することが可能で、管理サーバ自身に障害が発生した場合でも、他のサーバに自動的に管理機能が引き継がれるといった、他社製品にない仕組みを採用していることをアピールした。サーバ障害の発見やフェイルオーバーは、ストレージやネットワークに対する監視機能により自動的に行うという。

サーバ仮想環境でリソースプールを作成し、管理を自動化できる

ストレージ側の管理機能を利用することでパフォーマンス劣化を防ぐ