米Googleがサンフランシスコで開催中のAdobe MAXで、Flash用のオープンソースの分析トラッキング・ソリューション「Google Analytics Tracking For Adobe Flash」を発表した。「何人がビデオを視聴した?」「新規ユーザーを開拓できているか?」「予想通りのアクションを引き出せているか?」など、さまざまな角度からFlashコンテンツの効果を分析できる。

Flashコンテンツの分析トラッキングを簡素化「Google Analytics Tracking For Adobe Flash」

HTMLページ向けのGoogle Analyticsと同じ充実したビジュアルレポート

これまでもGoogle Analyticsを用いたFlashコンテンツの分析は可能だったが、トラッキング方法に一定の形がなく、状況に応じたカスタマイズを強いられていた。例えばFlashコンテンツで分析メソッドを適切に実行するためにga.jsへのカスタムインタフェースを構築し、またDocument Object Model(DOM)へのアクセスを意識する必要があった。加えて「標準が確立されていないため、技術の積み重ねがなく、開発者がそれぞれにトラッキング・プロセスを試行錯誤してきた」とGoogleのアナリティクススペシャリストNick Mihailovski氏。そこでシンプルな形でFlashコンテンツのトラッキングを実装できる仕組み作りを目指して、GoogleとAdobeのコラボレーションが始まったそうだ。

その成果となったGoogle Analytics Tracking For Adobe Flashは、Flashのプログラミング言語「ActionScript 3」にトラッキング・オブジェクトを埋め込んだコンポーネントを通じて、DOMアクセスを処理し、Flashコンテンツのアクセスを分析する。同コンポーネントは、キャンペーンやページビュー、イベントトラッキングなど、JavaScriptベースのバージョンと同じ機能群を備え、最新のga.asトラッキング・コードと完全な互換性があるそうだ。

トラッキング・コンポーネントを実装するには、Flash内にビジュアル・ツールを加えるか、直接コード内にトラッキングオブジェクトを埋め込む。Flash visualコンポーネント、Flash AS3ライブラリ、Flex MXMLコンポーネント、Flex AS3ライブラリなどが用意し、幅広いスキルのユーザーを抱えたFlash/ Flexコミュニティをサポートする。

コンポーネントをステージにドラッグ&ドロップ。技術に詳しくないデザイナーでも悩まずに実装できる

コンポーネントのコンフィギュア

トラッキング・モードは、既存のAnalyticsトラッキング(ga.js)とFlashコンテンツの間を取り持つブリッジ・モードと、Analyticsサーバと直接通信するAS3モードがある。2つは同じトラッキング機能を備え、容易に切り替えられる。これにより、HTMLページに埋め込まれたFlashウイジェット、スタンドアローンのFlexアプリケーションまたはHTMLページ上のFlashのみのページ、配信形式のFlex/ Flashプログラム/ ゲームなど、あらゆるFlashコンテンツでGoogle Analyticsを利用できるようになる。Mihailovski氏によると、コンポーネントのサイズは極めて小さく、Flashアプリケーションのパフォーマンスにはほとんど影響を及ぼさない。

もう1つの課題であるスタンダードについては、AS3コード全体をApache 2ライセンスで公開する。「機能を追加すれば、今後はオープンソースの仕組みの中でコードベースの貢献につながる。個人的にはこれが、このプロジェクトの最大の成果になると期待してる」とMihailovski氏。