【レポート】

マクドナルドのシステム連携基盤を紹介 - ローカルガバメントCIOフォーラム

日本オラクルは11月18日、全国地域情報化推進協会(APPLIC)の後援のもと、国や自治体のIT化推進の取り組みを紹介するフォーラム「ローカルガバメントCIOフォーラム」を開催。基調講演には、日本マクドナルドのインフラシステム本部 システム&サービスマネジメント部 部長の溝江言彦氏が登壇し、「CIO補佐経験者が語る、情報化の進め方、あるべき姿」と題する講演を行った。

日本マクドナルド インフラシステム本部 システム&サービスマネジメント部 部長 溝江言彦氏

溝江氏は、1999年からの6年間、民間登用のCIO補佐官として福岡県の企画振興部高度情報政策課で情報企画監を務め、2006年からは日本マクドナルドでシステム連携基盤の構築や社内標準の策定に携わっている人物。同氏は講演で、日本のマクドナルドのシステム連携基盤の構築には、福岡県で同氏らが進めた「福岡県電子自治体共通化技術標準」などの知見、ノウハウも生かされているとし、民間企業と自治体のシステム構築の現場を知る立場から、情報化の進め方、あるべき姿などを紹介した。

同氏によると、福岡県における共通化技術標準の取り組みとしては大きく、1) システムの技術基盤、構築方法の統一と標準化、2) 運用方法の統一化とデータセンターへの集中化、3) システム開発や保守運用を標準化するための手順書とひな形の作成の3つ。これらを実現するためのインフラとしてギガビッド・ネットワークの整備も進めた。

そして、システムの技術基盤としては、認証、決裁、自治体情報、職員情報などのデータやインタフェースを共通のシステム連携基盤上で統合し、その上で財務会計や、電子申請、電子入札のなどの個別アプリケーションを動かすという、 "SOA的な発想"で進めたことを紹介した。

一方、日本マクドナルドでの取り組みとしては、今年末までに情報システムを再構築するプロジェクト「EBIS(Enterprise Business Information System:全社統合ビジネスシステム、えびす)を進めている。EBISは、ISP、本社システム、データ連携などを再構築し、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を推進することで、TCOの削減、効率的なオペレーションの展開を目指すもの。

日本マクドナルドのシステム再構築プロジェクト「EBIS」の対象領域

再構築の対象は、「NFS(New Finance System)」と呼ばれる財務会計システムから、「eCAFE」と呼ばれる契約資産管理システム、「e-Operation」と呼ばれるクルー勤怠管理、購買管理、スケジュール管理システム、POSシステム、データウェアハウス、社員勤務能力管理・人事管理まで、ほぼ全領域に及んでいる。

規模としても、マクドナルドの店舗数は現在約3,800店舗で、店舗や本部とをつなぐ回線数は5,000回線、クルー数は全国約13万5,000人に上っており、およそ東京の武蔵野市と同程度の規模になるという。また、これまでにクルーを経験したことのある人で見ると、全国250万人に達し、新潟県や京都府と同程度となる。マクドナルド社内でも、日本は世界2位に位置するという。

同氏は、こうした規模のシステムを構築する際には「単にシステムを作れば済むという問題ではない」としながら、共通基盤をつくるうえでは、大きく3つの条件に留意することが大切だと指摘。1つ目は、TRM(テクニカル・リファレンス・モデル)の公開、部品の共有、運用・保守のオーブン化といった「システムの見える化」。2つ目は、発注者がほしいものが確実に入手できるか、発注者/受注者の認識に齟齬はないかといった「調達の見える化」。3つ目は、経営の課題を解決しているか、ユーザーの役に立っているかという「評価の見える化」である。

共通基盤の考え方として、システム、調達、評価の見える化が目指すことを

「システムの見える化がメインになることは間違いないが、特に注意したのは調達の見える化だ。これは、企画から運用、評価までの一貫した流れを見える化することを指している。共通基盤を考える際には、ベンダーから提供されるブラックボックスの仕組みの中だけで行おうとしたり、ブラックボックスの上にカスタマイズを施したりというのではなく、自分たちが欲しいものを欲しいかたちで手に入れることができるかが大切で、そのためには調達の見える化が重要になる」

もっとも、同社においても、こうした3つの条件が十分なかたちで実現されているとは言えない面があるとし、共通基盤を作るうえでの課題として取り組んでいることを明かした。

また、共通基盤の構築とともに、社内標準「MITS(McDonald Japan IT Standard:ミッツ)」の整備も進めている。MITSは、プロセス系、セキュリティ系、技術系の3つの分野で、それぞれ、標準、ガイドライン、手順書を文書として整備するもの。例えば、セキュリティ系では、ITセキュリティ基本規定、セキュリティ対策のガイドライン、実際に作業を行う際の規約などを定めるもの。同氏によると、これらは、福岡県で進めた「FITS(福岡標準システム標準)」を下敷きにしているという。

マクドナルドにおけるシステム連携のための全体アーキテクチャ。EBISを共通基盤として、オペレーション(左側)とマネジメント(右側)を分け、さらに両者をつなぐ基盤の整備を行っているという

同氏は、現在、日本マクドナルドにおけるシステム共通基盤とグローバルのシステム基盤とのすりあわせを行っていることを挙げながら、自治体の共通基盤と国や地域との連携においても、「単にベンダーのソリューションを導入するのではなく、各種標準や連携基盤の整備のあり方を議論し、アーキテクチャを見えるかたちで自分たちの手の中に入れることが大切」と強調した。



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