プライベートユース向けのスタイリングに加えて、dynabook NXが力を入れているポイントが「エコ」だ。まず、モバイルノートとしての使い勝手にも直接関係してくる省電力性能だが、液晶ディスプレイに消費電力の低いLEDバックライト、CPUに超低電圧版のCore 2 Duo SU9300(1.20GHz動作)を採用したことで、バッテリ駆動時間は約10.5時間(JEITAバッテリ動作時間測定法1.0)を実現した。これは今回試用したHDDモデルの場合で、フラッシュメモリドライブ(SSD)モデルの場合はさらに1時間延びて約11.5時間という長時間駆動となる。

付属ユーティリティソフトの「東芝PCヘルスモニタ」には、現在の消費電力をリアルタイムで表示する「消費電力メーター」が付いている。このメーターはWindows Vistaのサイドバーガジェットとしても用意されている

ちなみに、1週間の利用形態を約10時間動作・約5時間スタンバイの計15時間と想定した場合、年間CO2排出量は約1.7kgになるという。これは、同社のビジネス向けデスクトップPC「EQUIUM」と比較した場合約10分の1であり、ノートPCがいかに省電力であるかがわかる。

省電力関連の設定は基本的にWindows Vistaの電源オプションに統合されている

実際のバッテリ駆動時間は使い方にもよるので一概には言えないが、想定される使い方として、ファストフード店で無線LANスポット(802.11b)を使用して調べ物をしながら文書を作成するという作業を実際に行ってみた。電源プランは、電源オプションにあらかじめ用意されている「東芝省電力設定」を選択し、ディスプレイの明るさは店内の明るさでも見やすさに不便を感じない範囲として8段階中下から4段階目に設定した。

Webサイトや、WordやPDFのファイルを時々見ながらテキスト入力中心の作業をしたところ、満充電から残容量10%となるまでの時間が約6時間だった。JEITA測定法1.0によるバッテリ駆動時間は俗に「実際に電池が保つのはその半分」と言われることが多いが、それを考えると悪くない実績値と言える。

また、一般に電気用品のプラスチック素材には、難燃性を高めるための難燃化剤が添加されている。従来、この難燃化剤には焼却時のダイオキシン発生などにつながるハロゲン系物質が使われていたが、dynabook NXはボディのプラスチックにノンハロゲン素材を採用した。また、リサイクル時の分別がしやすいよう、複合材料部品の削減や、ネジ本数の削減といった工夫も行い、廃棄・リサイクルプロセスでの環境負荷も抑えている。

モバイルノートの材料としてはマグネシウム合金やカーボンが用いられることが多いが、dynabook NXではノンハロゲンのプラスチック素材を採用。しかし、先行するdynabook SS RXと同等の堅牢性を備えているので強度に心配はない

ちなみに、ボディ素材はプラスチックだが、dynabook SS RXシリーズなどで培った設計ノウハウを継承することで、100kgf面加圧テスト、75cm落下テストなどにも合格する堅牢性を実現しているという。

価格やスペックなどとは異なり、ユーザーにメリットが直接返ってくるわけではないだけにアピールが難しいと考えられる「エコ」だが、このような環境性能は今後あらゆる工業製品でこれまで以上に求められてくることだろう。その意味では、エコを全面に出した売り方というのは先見性のある取り組みと言えよう。