Jimmy Guerrero氏

30日、都内で開催された「MySQL ユーザカンファレンス 2008 ~MySQLのパワーを最大限に~」(サン・マイクロシステムズ 主催)において、スピーカーとして来日した米Sun Microsystemsのデータベース シニアプロダクト マーケティングディレクター Jimmy Guerrero氏によるプレス向けラウンドテーブルが行われた。同氏は2005年、MySQL Cluster/高可用性担当のプロダクトマネージャとしてMySQL ABに加わり、Sunによる同社買収後も、MySQL担当エグゼクティブとして活躍する人物だ。ラウンドテーブルでは、まもなくリリース予定のMySQL 5.1 GAの特徴、そして次期バージョンであるMySQL 6.0についての展望を語ってくれた。

5.1 GAでは"パーティショニング"と"レプリケーション"に要注目

MySQL 5.1 GA(以下、5.1 GA)は当初、2008年前半にもリリースされると伝えられていたが、開発に遅れが生じており、10月現在で入手可能な最新バージョンはRC 5.1.28、正式版がリリースされるのは「今年12月」(Guerrero氏)とのことだ。ユーザの期待も大きいだけに、これ以上の遅れはビジネスチャンスの喪失につながりかねないので、確実にコミットしたいところだ。

Guerrero氏は、いくつかある5.1 GAの新機能について、とくに「パーティショニング」と「レプリケーション」を強調する。「データベース内のデータ(テーブル/インデックス)を直接パーティショニングすることで、管理がしやすくなり、パフォーマンスが向上する。とくにデータウェアハウスでの利用に適している。またrawベースのレプリケーション(RBR)をサポートしたことで、ハイブリッドなレプリケーション - つまりステートメントベースのレプリケーション(SBR)との切り替えが可能になった。これによりスマートで安全なレプリケーションが実現する」とGuerrero氏。

ほかにも5.1 GAからMySQL Clusterがストレージ対応になり、インメモリだけでなくディスクベースでのデータ処理が可能になった。「大量のデータ処理において、メモリベースのみでデータ保持を行うのは危険性が高い」(Guerrero氏)が、今回のサポートにより、バックアップ前でもデータをディスクに書き込むことが可能になっている。

5.1 GAの特徴/新機能とリリース予定。年内のリリースはなんとしても実現してほしいところだ

外部キー、オンラインバックアップ、Falcon…開発者の目はすでに6系へ

次のメジャーアップデートバージョンとなる6.xについては、新ストレージエンジン"Falcon"の採用が注目されることが多いが、Guerrero氏が最初に挙げた特徴は、システムを停止させずにバックアップを取れる「オンラインバックアップ(ホットバックアップ)」機能だ。MySQL上でオンラインバックアップを実行するためには、サードパーティ製のツールなどが必要だったが、6.0からは標準でサポートされることになり、効率的なシステム運用が期待できるという。

同氏はまた、外部キーのネイティブサポートも6.0の大きな特徴だと語る。現在、外部キーをフルサポートするストレージエンジンはInnoDBだが、6.0では「より多くのストレージエンジンで指定できる」(Guerrero氏)とのことだ。

MySQL 6.0の10月現在の最新バージョンは「6.0.7-alpha」。ベータ版の提供スタートは2009年の中頃、GA版のリリースは2010年の第4四半期となっているが、このスケジュールは「多分に流動的」(サン)で、後ろにずれこむ可能性が高そうだ。

バージョン6系で予定されている特徴/新機能。注目はオンラインバックアップだ