キャリアデザインはストレスの要因

「キャリアデザイン」という言葉がある。ご存知のとおり、これは「自分のキャリアのゴールとなる将来像を定め、そこから逆算して今やるべきことを決める」という考え方を示すものだ。ある程度の社会人経験を持つ方ならだれでも知っているほど普及した概念だが、キャリア インキュベーション(CAREER INCUBATION) 代表取締役社長の荒井裕之氏は、今やこの考え方は主流ではないと説明する。

キャリア インキュベーション 代表取締役社長の荒井裕之氏

「世の中はすさまじいスピードで変わり、それに合わせて会社も大きく変化する。技術やソリューションにも流行があり、新しい技術もすぐにコモディティ化する。このような大きな流れの中にあっては、個人のキャリアがデザインされた通りに進んでいくことはありえない」(荒井氏)

リーマンブラザーズのように、市場をリードする大企業でも破綻に追い込まれることがある。また、Webの普及期にはSIPS(Strategic Internet Professional Service)と呼ばれるネットビジネス向けのコンサルティング会社が一世風靡したが、今や見る影もない。

こうした例からもわかるとおり、個人を取り巻く外部環境はいつ激変しても不思議ではない。そのような先の読めない状況の中でキャリアがデザインどおりに運ぶことは非常にまれで、こだわりすぎると「ストレスになりかねない」(荒井氏)という。

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