スウェーデン・ストックホルムで開催された技術と投資のカンファレンス「ETRE 08」(主催: 米Red Herring)で10月15日、米Microsoftのインターナショナル担当プレジデントJean-Philippe Courtois氏が登場した。米国以外のすべての地域の営業活動を統括するCourtois氏は、米Googleや米Appleとの競合、新興市場、イノベーション、アジリティなどについて語った。

Jean-Philippe Courtois氏

景気減速は最大のチャンス

Alex Vieux氏

Courtois氏のセッションは、ETREのホストであるRed Herringの会長兼CEO、Alex Vieux氏との対談形式で行われた。

まず世界的な景気減速について、Courtois氏は、「経済危機と無関係な業界はない。中でもITは、CAPEX(資本的支出)の約50%を占める」としながらも、「いまが市場シェアを拡大する最大のチャンス」と言い切る。

それは、Microsoftなら大丈夫だろうというセーフティネットの心理からか? - Courtois氏は、「顧客が最も切迫したニーズに対応することでシェアを拡大できる」と答える。

たとえば先日、欧州の大企業のCIOから突然、予算を30%カットすると告げられたという。Microsoftはそこで、その企業が持つ技術をレビューした。データセンターに並ぶサーバの利用率は平均して10%程度といわれている。仮想化技術のシステム管理機能を利用して、システムを簡素化し、コストを削減する提案をしたという。このように、Microsoftでは「コンサルティングを含めたチームが顧客が目標に到達するよう支援している」とCourtois氏は言う。

広範なポートフォリオを持つMicrosoftだが、製品ポートフォリオを今後どのように管理していくのか? 実績がない製品ラインについては、今後も維持していくのか? Vieux氏は、「一時期の米CAの状態に陥っているのでは?」と聞いた。これに対し、Courtois氏は、「デスクトップの価値をテコに製品を統合しつつ、新カテゴリ(セキュリティ、仮想化など)を導入していく」と答えた。

Appleのような"魔法"を起こせるか?

現在、米国ではMicrosoftとAppleが広告で火花を散らしているが、Vieux氏はMicrosoftのイメージについて突っ込んだ質問をした。「Appleが「iPhone」「iPod」などユーザーをあっと言わせているのに対し、Microsoftの製品は"魔法"がない。これはマーケティングの問題? それとも製品の問題?」

「PCはさまざまなエキサイティングなことを実現するデバイスだ。オフィス、教育、ヘルスケアなどで使われている」とCourtois氏は自己防衛する。それは必ずしもエキサイティングなものではないかもしれないが、きちんと業務をこなすものだ。

あっと言わせる技術としては、「Surface(テーブル型PC)など、あっといわせるものがいくつかある」と言う。「エンタープライズ分野では、仕事をするのにすばらしい技術にフォーカスしている。コンシューマ側では、ユーザーをあっと言わせるような製品を開発するよう作業を進めている」