【レポート】

入館料100円なんか惜しくない、充実のおもちゃ箱…それが「たばこと塩の博物館」ミュージアムショップだ

    でこくーる  [2008/10/24]

    渋谷駅ハチ公口からパルコ方面に向かって坂を登っていくと、ふと眼に止まる看板の文字。それは確か「たばこと塩の博物館」。「そういえばあったっけ!」「ちょっと気になってたけど、結局まだ入ったことないかも……」。そんな声が聞こえてきそうな、繁華街のど真ん中にあるのに(が故に?)、「知る人ぞ知る」といったイメージの強い博物館。著者にとって、この博物館はまさにそうした場所だった。

    名前や扱っているもののマニアックさ故に、ちょっと入ってみたい。でも、アクセスが良いだけに、逆に行く機会を作りそびれる……。なので、「塩グッズの充実ぶりはちょっと凄いですヨ」という担当編集の話を聞くやいなや、早速取材を申し込むことに。これでようやく、興味津々だったあの建物に足を踏み入れられるというもの……。

    改めて訪れてみて驚いたのは、道の反対側から何気に目で追っていた時とは全然違う外観の印象。あれ、何だか地味っていうより、機能的だしキレイ……。

    ミュージアムショップ内部(右)。ショップ単体での利用はできないが、入館料自体安いので気軽に入れる

    こちらのミュージアムショップは、来館者サービスという位置づけのため、残念ながらショップ単体での利用は出来ないシステム。しかし、常設展+企画展合わせて、入館料は大人100円、小学生~高校生が50円という驚異的な安さだ。さすが元「日本専売公社(日本たばこ産業の前身)」設立の公共施設、と言えよう。

    そして、専売公社として永らく「たばこ」と「塩」を扱っていたキャリアを思わせるのが、グッズのラインアップだ。

    ざっと数えて、塩関係でおよそ24種、たばこ関係でおよそ45種、それらにちなんだオリジナルグッズがおよそ14種以上! 常設展に加えこれまでの企画展の図録、そして塩やたばこにちなんだ書物が、とても資料性豊かな冊子類として並んでいる。なかなか入手しづらい資料類では……と素人目にもわかる、レアなタイトルの本がずらりと並ぶ。

    これはどこから見始めようとワクワクして、オススメ商品を伺ったところ「こちらが当館オリジナルグッズとして出している『テーブルセンター』です」(たばこと塩の博物館広報担当)とのことだった。たばこの起源が中南米であるということも関連し、エル・サルバドルで、そこの伝統工芸である藍染めにより、作られているという。モチーフはたばこの神が喫煙している姿だとか。完全手工芸品という性質上、一度に入荷する点数も少なく、切れてしまうと次回入荷も未定だという。

    藍染めテーブルセンター。1,800円。タバコ発祥の地域にあるエルサルバドル共和国の伝統工芸品

    その他お薦めを聞くと「たばこ関連では、『こけしマッチ』が好評ですね」(ミュージアムショップスタッフ)。一本一本に絵入り(!)なところや、値段もお手頃なところがちょっとしたお土産にウケているという。「あとはやはり、『たばこ煎餅』でしょうか」(同)。

    ……『たばこ煎餅』!?

    「あ、別に中にたばこが入っているというわけではなく(笑)、たばこの葉の形を模している商品です」。かつて、たばこの葉の産地であった神奈川県秦野市と、この館内でしか入手できないという。

    煙草煎餅(6枚入り530円)土産として大好評

    また塩は赤岩塩を始め、世界の珍しい塩が揃っており、お土産としても人気が高いとのことだった。

    食卓塩(80円/約100g)。昔懐かしいボトルタイプ。実はこの塩の原料はメキシコ産の天日塩(それを国内で再加工したもの)!

    赤岩塩(500円/約300g)。ボリヴィア産アンデス山岳地帯で採れる岩塩を砕いただけのもの。鉄分が豊富なため、自然に赤い色になるとのこと。肉料理にどうぞ。でもラブソルトって……?

    写真右はポーランド岩塩(塊・大、700円/約300g)。料理にはミル・おろし金などで挽いて。写真左はヒマラヤの岩塩(500円/約100g) 。4000年前には海底だったヒマラヤが隆起する過程で海水を閉じ込め、岩塩を生み出した

    塩が置かれた棚には、ポーランドやヒマラヤの岩塩、南米アンデス高地にある世界最大の塩湖、ウユニ塩湖の塩塊を砕いたウユニの塩やインカ帝国の時代より続くといわれるマラス塩田で作られたインカ天日塩など珍しい商品が並ぶ

    その他、本館所蔵の浮世絵をモチーフとしたミニクリアファイルや絵はがきなども好評とのこと。大正時代前後のたばこの広告ポスターをあしらった絵はがきなどの小物類は、確かにここでしか買えない品で、しかもレトロでポップ。

    また、「最近はエコロジーの意識の高まりや、レトロなものへの興味から、きせるや刻みたばこにも興味を示される方が多いですね」とのこと。確かにきせるやパイプは、どこかほっとする優しさのようなものを持っている。たばこが粋な嗜好品であり、ファッションの一部でもあった時代を思わせる。

    「2001年の改装に伴い、ショップも現在の形になり、オリジナルグッズの販売を始めました。浮世絵など、当館所蔵の資料をモチーフに今後、オリジナルグッズにもますます力を入れていく予定です」(広報担当)。訪れる度に発見がありそうなこのショップ。ふらっと気軽に訪れるのも楽しい付き合い方かもしれない。

    ちなみに、以下がたばこと塩の博物館のミュージアムグッズランキングだ。⇒「裏」ミュージアムグッズランキングはこちら

    ミュージアムショップ売上5位(2008年4月)

    順位 商品 価格
    1位 絵はがき 110円
    2位 ノスタルジアマッチ 110円
    3位 こけしマッチミニ 130円
    4位 たばこ煎餅 530円
    5位 こけしマッチ 150円

    巨大な岩塩、紙巻きたばこの作りかた、そして現代広告業のルーツまで…濃すぎる館内展示

    そして、まだまだいくらでも遊んでいられそうなショップを後に、いざ館内の展示見学へ。といってもこの館内、外観から想像するより意外と広い展示面積を有している。M2Fと2Fは「たばこの来た道」/「日本のたばこ」と、世界の喫煙具からパッケージ、日本のたばこの歴史をみっちり紹介。

    特に、日本のたばこパッケージ&販促ポスターの展示は圧巻だ。明治~大正時代、そして昭和の戦前にかけてのパッケージの変遷は、そのまま現代の広告業の基礎になっているという。「二大たばこ会社の競合によって、印刷技術が飛躍的に向上し、キャッチコピーの重要性も意識されていくようになったのです」(同)。元専売公社の施設ということで、この博物館には地味ながら濃いのでは、というイメージを持っていた著者(失礼!)。そのイメージを180度変えるような、エンターテイメント性に富み、わかりやすくツボを押さえた紹介は、ショップだけではなく展示全般にも共通している。それはこうした、日本のたばこ産業の歴史に通じるものがあるのかもしれない。また、「江戸時代の刻みたばこ屋」や「昔懐かしいタバコ屋さん」の再現など、各所にあるジオラマも見所となっている。

    3Fの「日本の塩・世界の塩」コーナーでは、ポーランドの岩塩鉱山から切り出して来た巨大な塩の柱に迎えられる。世界各地の岩塩や湖塩のほか、日本古来の塩田のジオラマで、海水からの塩づくりを学べるとともに、塩の結晶を顕微鏡で見ることができるコーナー、塩について学べる映像やクイズなど、動的で参加型の展示を楽しめる。

    そして4Fには企画展が開催される特別展示室がある。著者が訪れた時には、「四大嗜好品にみる嗜みの歴史」展が開催されており、コーヒー・茶・酒・たばこがもたらした文化について紹介されていた(10月17日に終了)。

    あまりに充実した展示には、何度来てもその都度新しい感動と出会えそうな、玩具箱のような楽しさが詰まっている。膨大な収蔵品をもとにした企画展も、その楽しみのひとつだ。渋谷に足を運んだ際には、ふらっと気軽に立ち寄るのはいかがだろうか。

    たばこと塩の博物館 データ

    アクセス JR・各線渋谷駅より徒歩10分
    開館時間 10:00~18:00(入館は17:30まで)
    休館 月曜日(ただし月曜日が休・祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/3)
    入館料 個人/大人・大学生100円 小~高校生50円
    団体/大人・大学生50円 小~高校生20円

    たばこと塩の博物館開館30周年記念特別展「近世初期風俗画 躍動と快楽」

    ■会期中(10月25日~11月30日)は特別料金を設定

    個人/大人・大学生300円・小~高校生100円
    団体/大人・大学生150円・団体/小~高校生 50円

    ちなみに、博物館公式サイトには、こんなコーナーも。 企画展舞台裏ブログ

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