世界最大手の携帯電話メーカーとして知られるフィンランドNokiaが、ソフトウェア/サービス企業に変身を遂げようとしている。そこで核となるのが、「Symbian OS」向けプラットフォーム「S60」だ。Nokiaは今年6月24日、1)英Symbianの買収、2) Symbian Foundationの設立を発表し、大きな賭けに出た。果たしてNokiaの狙いは何か。そしてNokiaのソフトウェア戦略とはどのようなものなのか -- Nokiaが9月23日 - 24日、フィンランド・ヘルシンキ郊外の本社で開催したプレス向けイベント「The Way We Live Next 2008」で、S60研究開発担当上級副社長のDavid Rivas氏が、S60とSymbian FoudationなどNokiaのソフトウェア戦略について語った。

David Rivas氏

Rivas氏はまず、モバイル業界を取り巻く環境について説明した。

インターネットにより、土台的な変更が起こりつつある。ここでのキーワードは、コミュニティ、参加、そしてパーソナル。既存のブロードキャスト型メディアは影響力が弱まり、直接の対話が生まれている。これにより、ビジネスモデル、コンシューマのエクスペリエンスが再定義されつつある。

もうひとつが、携帯電話などの無線通信だ。携帯電話はその便利さからあっという間に普及し、コミュニケーションを土台から変えている。

「インターネットとモビリティ、この2つがひとつになりつつある」とRivas氏。

携帯電話分野をみると、「現在、モバイル業界で最も重要な変化が起きているところはソフトウェア」とRivas氏は言う。ソフトウェアにより、これまでにないようなサービスが次々と実現されており、ソフトウェアは端末の差別化になりつつある。

Nokiaはこれまで、ソフトウェアでは「Symbian OS」と「S60」を土台としてきたが、モバイルOSは複雑になっており、1社ではすべての開発作業を実現できなくなってきた。Symbian OSは、Nokiaが1998年、米Motorolaらと共同で設立したSymbianがライセンスしているが、今回、NokiaがまずSymbianを買収し、NTTドコモら9社とともにSymbian Foundationという非営利団体を設立することにした。オープンソースにすることで、さまざまな企業や開発者の参加を促し、開発者コミュニティと改善していくという狙いだ。

「Symbian OSの価値を拡大し、インターネットとモバイルが融合する業界を牽引していく」とRivas氏。Nokiaにとって、次のモバイル時代の方向性を示す戦略的な動きといえる。